一番観えてないのはあなた
会話がうまくいかない原因は、無意識の“思い込み”かもしれません。
本日は、「一般化」のクセに気づき、誤解を減らす質問のコツをお伝えします。
「みんなそう思ってる」
「いつもこうなんです」
「どうせ私はうまくいかない」
こんな言葉を、つい口にしたり、誰かの口から聞いたりしたことはありませんか?
私たちが暮らす社会には、さまざまなストレスがあります。中でも、人間関係のストレスはとても大きな比重を占めています。
プライベートでは流せる会話でも、ビジネスの場ではそうもいきません。相手の言葉の裏にある意図や感情を読み取る必要があり、すれ違いも起きやすくなります。
特に関係性がぎくしゃくしている相手との会話では、「これだけ話しているのに、なぜ伝わらないの?」と、話せば話すほど関係がこじれてしまうこともあるのではないでしょうか。
情報は、心の“翻訳機”を通ってくる
これらのすれ違いの多くは、私たちが無意識に使っている「心のフィルター」が関係しています。NLP(神経言語プログラミング)では、このフィルターのことを「削除」「歪曲」「一般化」の3つに分けて説明しています。相手の言葉を、自分だけの“翻訳機”で変換して認知しているため、相手が意図していない意味を受け取ってしまうことがあります。
今回は、その中でも日常的にもっともよく使われる「一般化」に焦点をあててみます。
「みんな言ってる」は本当に“みんな”? 例えば、職場で数人がAさんの悪口を言っていたとします。それを別の人に伝えるとき、「みんなAさんのこと、悪く言ってたよ」と言ってしまうことはありませんか?
実際には2〜3人でも、「みんな」と言われると、聞いた側は「ほとんどの人がそうなんだ」と受け取ってしまいます。このように、少ない情報を全体のこととしてまとめてしまう思考のクセが「一般化」です。便利な側面もありますが、誤解や偏見の温床になることも多いのです。
一般化された言葉には、質問で寄り添う
一般化された言葉に出会ったとき、下記のような問いかけで、その背景にある“思い込み”や“事実の範囲”を明らかにすることができます。
「私はいつもついてない」
一度もラッキーなことはなかった?
最近あった“ちょっといいこと”は何かある?
「私は人前で意見が言えない」
どんな場面で言いにくく感じるの?
少人数なら話せることもある?
「この仕事は急いでね」
いつまでに仕上げたらいいですか?
“急ぎ”って、今日中という意味かな?
ポイントは、“事実”と“印象”をやさしく分けて聴くこと。「揚げ足を取っている」と思われないように、相手の感情に配慮しながら問いかけることで、会話は自然に深まります。
「なぜ?」よりも、「どうすれば?」
「なぜ?」の問いかけは注意が必要です。この言葉は、相手にとっては責められているように感じることがあるからです。代わりに、「どんなときにそう感じる?」「どんな場面だと少し違うかも?」と、“未来”や“可能性”に目を向けた質問が対話には向いています。
【小さな実践】
今日からできる、ちょっとした習慣として、相手の「いつも」「みんな」「絶対」などの言葉に気づいたら、やさしく問いかけてみてください。問いかけを通して、相手も自分も「本当にそうかな?」と立ち止まることができます。その一瞬が、すれ違いを防ぎ、信頼を深めるきっかけになるはずです。



