男と女は脳がちがう
第一印象は、わずか数秒でその人の評価を大きく左右するものです。一度悪いイメージを持たれてしまうと、次に会ったときにどんなにイメージを変えようとしても、なかなか最初の印象を塗り替えられない場合があります。しかし、ある心理を活用することで、悪い印象を少しずつ好転させることも可能になります。
五感で“ラベリング”される第一印象
私たちは初対面の相手を見たとき、無意識に五感をフル稼働させて観察しています。表情、ヘアスタイル、服装、アクセサリー、コロンの香りや体臭、清潔感、雰囲気、声など、さまざまな要素が一瞬で“ラベリング”され、「感じの良い人」「どこか苦手かも」といった印象が決まります。
一度悪いイメージを与えると、次に会ったときにそのイメージを置き換えるのは難しくなります。相手は無意識に「やっぱりこの人は◯◯だ」「頼りない」と悪い部分を探してしまい、こちらは「嫌われているかもしれない」というトーンを出してしまう。それが相手の嫌悪感を強める、という悪循環に陥ります。
私がまだ設計に携わっていた頃、新築に設置するシステムキッチンをお客様と一緒にメーカーのショールームへ見に行きました。そのとき担当に付いてくれた女性は、声も容姿も洗練された方でした。ところが、話をしていると口臭きつく、お客様も私も困惑し、何を説明されても頭に入らない状態に。結局、お客様は後日キッチンメーカーを変更しました。
もちろん、口臭だけが理由ではなかったかもしれませんが、「モノ」を買うにも、対応するのは「人」。こうしたちょっとした要素が第一印象に大きく影響する例と言えます。
ラベリングは剥がすことができる
とはいえ、一度悪い第一印象を与えたら回復不可能かというと、必ずしもそうではありません。ここで活用できるのが「返報性の原理」や「承認欲求」という心理。
返報性の原理
人から何らかの施しや好意を受けたとき、自然と「お返しをしなくては」と感じる心理のことです。私たちは無意識に「お返し」をしようとする傾向があります。例えば、相手の良い部分を褒めたり、些細なサポートを申し出たりすると、相手も「自分も何か返したい」という気持ちになりやすくなります。
承認欲求
私たちは誰しも、他者から「認められたい」「評価されたい」という気持ちを持っています。好意的に接してもらえたり、尊重してもらえたりすると、その期待に応えようとします。
「この前のお話、すごく参考になりました」と、相手の言動を具体的に評価して伝える。
「○○さんに相談して良かったです」と、相手の存在自体に感謝の言葉を示す。
このように、誠実な姿勢で好感を持ち続け、相手を大切に想う行動を積み重ねていけば、相手の気持ちは少しずつ変化していく可能性があります。
【小さな実践】
大切な相手に誤解されても、心から相手を尊敬し、好感を持ち続ける努力を続ければ、時間はかかるかもしれませんがやがて振り向いてもらえるかもしれません。肝心なのは、「自分が相手からどう思われているか」よりも、「自分が相手をどう思っているか」を常に意識すること。これが良好な関係構築の鍵となるはずです。