大きく人生を変える小さな感情
一本の電話
昔、お付き合いがあったお客様から「一戸建てかマンションを購入しようと思っているので相談に乗ってほしい」という電話がありました。
現役の頃の私なら、経験と知識を振りかざし、専門用語をまくし立てながら、マンションと一戸建てのメリットとデメリットを長い時間を掛けて説明していたことでしょう。
私は「これから私がする質問に答えてもらえますか?」と聞いて下記のような質問を始めました。
「会社から帰って自宅で寛いでいる時、どのような光景が浮かびますか?」
お客様は、「エレベーターを降りて、自宅のドアの前に立つと換気扇から、美味しそうな料理の香りがし、中に入ると妻と子供が「お帰りなさーい」の声。私はすぐにソファに座り、子供を膝の上に乗せる・・そんな光景が目に浮かびます」
では、「休日の光景は?」と質問すると
「そうですね・・・ 日差しが眩しいほどいっぱい入る部屋で、私はソファーでコーヒを飲み、妻はキッチンで食事の支度をし、子供は私の周りをギャーギャーと走り回っている光景が浮かびます」
次に「窓の外に何が観えますか?」
「白いペンキを塗った垣根と、芝生の上に巻いた水道のホースです」と答えたかと思うと、矢継ぎ早に、「今日まで、こんなことを想像したことはありませんでした」と驚いた様子でした。
内面の気づき
お客様が言うには、友人からマンション勧められ、私としてはマンションを購入する方向に気持ちが傾いていましたが、妻が反対しているので専門家の意見で、妻の背中を押してもらう計画だったようです。
私は、もう一度、本当に望んでいる生活スタイルを家族で話し合って下さいと言って電話を切りました。私は何のアドバイスもしていません。全てお客様が自分で出した答えです。
お客様が答えた、会社から帰った際のイメージは、現状の生活です。次の休日のイメージはお客様が、潜在的に想い描いている理想の生活スタイルだったのでしょう。
このように現実的な生活と未来を想い描いた際のギャップが明確になった極端な例ですが、家族が永く暮らす住まいは、車やモノと違って家族の想いが一致するのがベストです。
温もりがある住まいは、居心地が良く、疲れて帰ってもホッとします。建築士事務所は廃業しましたが、コーチとして、このようなカタチで建築に携わっていけることに幸せを感じた日でした。
下記に参考になる記事のリンクを貼っておきます。
◇「家族の関係性が希薄になる原因の70%は住環境が原因」
住環境は子どもに大きく影響する
◇「理想の家は建築専門家だけでは創れない」
本当に住みたい家のヒント
◇「家族の五感で住環境をつくる」
足の裏で感じる理想の住まい
【小さな実践】
何故、住環境が家族の人生に大きく影響を及ぼすのかを書き出してみる