家族のカタチは住環境習慣で変わる【その2】
住環境が及ぼす悪影響
私は以前、建物の設計監理と住環境のコンサルタントに従事していました。その頃のデータを分析すると住環境が家族の関係性と身体の健康に大きく影響を及ぼしていることが明確になりました。
健康面で「部屋が湿気て気持ちが悪い」という相談が多くあり、湿気の原因には
次のようなことが考えられます。
・敷地そのものが湿気ている(雨水排水の不備・敷地が周囲の地面より低い)
・床下換気口が少ない(換気口の位置が有効でない・物で塞がれている)
・部屋の換気が悪い(窓の位置関係が悪い・換気設備がない)
驚いた事例が数年前にありました。
お客様のご自宅に伺うとカビ臭く、壁のクロスがカビや結露で浮いています。和室の柱にも結露ジミができ、家具の下はカビだらけでした。
そこでキッチンの床下収納を外して、床下を覗いてみるとなんと! 床下全体に5センチほど水が溜まっているではありませんか。
お客様にいつから湿気を感じていたのか尋ねると、現在の住宅は中古で5年ほど前に購入し、入居した時から湿っぽいと感じていたらしいのです。
さっそく、知り合いの工務店を呼んで広い範囲で床をめくりました。水が溜まっている原因は色々あります。給排水管の水漏れ、基礎の亀裂、スラブコンクリート防水の不備など。
こちらの原因は排水管からの漏れでした。
潜むストレス
一般の方が中古住宅を購入する際、床下まで確認することはほとんどないので、中古住宅を内覧する際には専門家と同行することをお勧めします。
この事例をみても、住環境がどれだけ身体の健康に影響するか想像できると思います。住環境は直接的な原因だけでなく、何某かのストレスも健康に影響を及ぼします。それらのストレスは下記のようなことが原因です。
・天井が低く圧迫感がある
・風通しが悪く湿気る(開口部の位置関係)
・夏暑く、冬寒い(断熱)
・壁によるイライラ(色・柄)
・家族との距離感(間取り・動線)
・防音(内外部)
・サニタリー動線
・家相
これらの間接ストレスは、最初は不快に感じていても慣れます。しかし、長く暮らしていると潜在的なストレスになります。それらが原因で病気になったり、家族との関係性が悪くなります。
何となく居心地が悪い建物は、こういったステルスストレスが潜んでいることが多いです。建物によるストレスは、新築やリフォームでも起こります。
新居に入った時には何も感じなかったが、しばらく暮らしていると不快感を感じてきたり居心地の悪くなります。これは住環境のストレスに身体が悲鳴をあげているからです。
これは、これまで古い家で培われた家族の価値観や生活習慣が、望ましいカタチで新居に活かされていないことで起こります。
お客様の家族の関係性や価値観、生活習慣を引き出して住環境に活かす専門スキルを持って今までとは違うアプローチで家づくりをしなければ解決しない課題です。
今まで人が行なっていたことがAIに引き継がれ、AIにはできない「感情」に関係する専門家がもっと細分化されて役割分担する時代になるでしょう。
もっと先になると、感情の分野もAIに侵され、やがてAIが人を教育し、人を雇用する時代になるかもしれませんね。
【小さな実践】487/1000
住んでいる家のどこが居心地が良いのかをピックアップし、居心地が良い理由を書き出してみる。同じように使いづらいところも書き出してみる