子どもと親の課題の分離
あなたが時間を忘れて夢中になることはなんでしょうか?
私が子どもの頃に夢中になっていたことは、絵を描くことでした。一人っ子だったので友だちと外で遊ぶか、自宅でひとり遊びをするかです。ひとりでできることは絵か描くか、遊び道具を作ることでした。遊び道具は作ってしまえば終わりですが、絵は無制限に描けます。
私が絵を描き始めたのが、2歳半のころからです。私は1歳の頃の記憶が少しあるので、2歳になると明確に記憶に残っていることが多いのです。特に夢中になったことはよく覚えています。
その頃は、絵を描くといっても、画用紙やクレヨン、色鉛筆はなかったので土をキャンパスにして道に木の枝で絵を描いていました。その頃の田舎の道路は、国道がアスファルト舗装されているくらいで、ほとんど地道でした。
とにかく描きたいと思ったら、どこの道でも夢中になって描いていたので周りことは何にも観えなくなっていました。たまに通るオートバイや自動三輪車にクラクションを鳴らされる原因は、いつも私でした(笑)
その頃の私の「好き」は絵ですが、母親は興味をしめすことがなく、祖父だけが私の描いた絵を興味深く観ていて「これは何だ?」とか「どうしてこれを描こうと思った?」とか聴かれていました。私は「わからん」とか「描きたいから」と答えながら「面倒くさいなぁ」くらいにしか思っていませんでした。
私は祖父と母親の三人家族で、母親はほとんど私に興味を示すことなく仕事ばかりしていました。祖父は盆栽家だったので、私が絵を描いたり、モノ作りをしていると、私の表情や手の動きをとても興味深く観察していました。子どもの表情や手の動きを観察していると、子どもが何に注目しているのか解るようです。
今思えば、私が建築家として、ステンドグラス作家として、この道を選ぶことになったのは、おそらく祖父が、私の背中を観ながら、そっと押してくれていたように思います。
子どもの「好き」や「得意なこと」をどのように伸ばそうかと考えている親御さんは多いと思います。その時は、子どもの前にいって引っ張らずに、様子を観ながら後ろから背中を押して見守ってあげるほうが、子ども自身が自分で好きなことを探せるようになります。
私は子どもの頃、何百回となくイタズラをしてきました。大人から観ると、子どもは同じことを繰り返しています。子どもは飽きやすいので、同じことばかりしているように観えても、実はアンテナを立てて絶えず別のテーマを探しています。このように子どもは「遊び」で自分自身を育てています。
子どもを観ていると、親の固定観念をひっくり返すような、発見があります。言葉ひとつにしても、コピーライターが書くよりすごい言葉を発しています。
祖父は、私が何気なく発した言葉で面白いものをノートに書き留めていました。私の成長に伴って、そのノートを時々、見せてくれていました。
スマホで動画を残すのも良いですが、子どもが発した記憶に残るような面白い言葉や行動をノートに書き留めて子育て期間の楽しみにしてはどうでしょうか。
【小さな実践】
子どもの頃、あなたが「遊び」で学んだことを書き出してみる