◆NHKスペシャル 新・映像の世紀
大量に受注(販売)を受けて生産(小売)規模を拡大し、原材料(商品)の大量発注による仕入れ原価の引き下げ効果で利益に繋げるという産業構造は小売チェーンやグローバル企業の根幹を成す運営手法です。
また、人件費のコストカットのためのオペレーションや生産拠点(販売拠点)を賃金の安い国(人口=需要の多い国)へ移す施策も成長のための不可欠な要素です。
かつての日本は、安い労働力で国際競争力を高め、驚異的な経済発展と、品質の良い世界の工場として大きな成功を収めてきました。
しかし、これまで日本の発展の中核を成した条件は、中国や韓国や台湾などの日本以外のアジア各国に引き継がれてしまいました。
特にエレクトロニクスの分野での日本企業の急激な没落が目立ってきています。
その原因は、アメリカのIT産業の主軸を成す企業が、製品の委託生産や組み立てラインを日本以外の中国、韓国、台湾にシフトしているからです。
新しい分野のエレクトロニクス製品は、情報技術や製品の横断的共有化を軸に据えた新しい価値を伴った革新的な製品へとシフトしていくようです。
そして、その新しい価値をリードしてきたのは、残念なことに日本ではなくアメリカでした。
日本は新しいグローバルな革新的価値を世界に向けて発信する事が出来ず、世界の物造りや技術革新の中心的分野での競争力を失う事になってしまいました。
グローバルな価値の創造による新規需要の拡大に失敗し、低コスト大量生産の基本的競争力を失ったことで、国内生産は国内需要中心の内向きになり、そこでも国際競争力を失ってしまいました。
その頼みの国内需要でさえ、次第にグローバルな価値に準拠した需要へと変容することで、国内向け商品の需要激減という市場の変化に打ちのめされる結果になったのです。
今や、新しいグローバルな価値を飛躍的に高める、より高度な技術革新に裏打ちされた新しい製品分野の開発が不可欠となりました。
また同時に、日本発の新しいグローバルな価値の創造という根本的命題に取り組んでいかなければならないのです。
規模の拡大こそが世界的シェアを産むことに直結するグローバル社会の競争原理。
人間の基本的欲求が宗教や文化や肌の違いを乗り越えたところにあるとすれば、グローバリズムの原動力は、お金には国境も文化の違いも無いという資本の原理そのものなのだなと改めて気づかされます・・・。