コミュニケーションは医療スキル

谷澤優花

谷澤優花

テーマ:患者の心をつかむ!医療接遇マナー

患者から重要な情報を聞き出す力

医師や看護師は、患者に応じて適切な処置をするために、患者さんからより多くの症状を伝えてもらう必要があります。少ない情報では、判断材料が少なく、実際に診断したものと実は違う結果であったということは少なくありません。状態が良くならず、もう一度患者さんが来診されたとき「あのときは言わなかったけれど、実は…」ということもあります。しかし、それは患者さんだけの責任でしょうか…。

そういった場面で「どうして言わなかったんですか?」と患者さんを問いただす医師や看護師であってはいけません。それは、患者さんが言わなかっただけではなく、医師や看護師が言わせる状況を作らなかったことにも、原因があるではないでしょうか。
患者さんは自分の体に異常を感じ、不安を抱えて病院にいらっしゃいます。
健康状態が良好ではないということは、冷静な状態でいることの方が難しいといえるでしょう。だからこそ医療現場で働く人は、その不安も考慮し、患者さんを安心させながら、より多くの情報を患者さんから伺い、病状に及んだ要因や、発症の時期、痛みの度合いや詳しい症状を、引き出すことが必要とされているのです。

赤ちゃんの診察

患者に伝える力

コミュニケーションスキルの中でも一番難しいとされるのが「伝える力」ではないでしょうか。
同じことを伝えるにも、相手が違えば伝え方は変わってきます。80代の患者さんと、20代の患者さんに、同じスピードで話しても伝わり方は同じでしょうか…?相手の年齢や、心と体の状態によって、変わりますね。このように、話すスピードだけでなく、会話のテクニックでも伝え方は変わります。

「伝える力」を磨くには、どんな患者さんにも対応できる「伝え方」が出来るようになることが大切です。そのために、一番必要とされることは、相手の立場になって想像を働かせ、心を配る(配慮する)ということです。
自分がしゃべるのだから、自分のペースで、自分が言いたいようにしゃべればいい…という、一方的な会話であってはいけません。「伝え方」で大切なことは、相手の心のストライクゾーンに、ぴったり届く言葉を今の場面では、何なのか?を考え、相手に配慮した会話であることです。

では、患者さんに配慮した会話とは、どのような会話なのでしょうか?
クッション言葉を、普段使っている会話文の前に付け加えることで、患者さんに与える印象はずいぶん変わります。

「定期的に診察に来てもらうことになります。いいですね。」といういい方と、
「ご足労をお願いすることになりますが、定期的に診察に来て頂くことになります。よろしいでしょうか?」と言ういい方。

皆さんならどちらの方が、患者として受け止めやすい、そしてこちらの意向も告げやすいいい方、伝え方でしょうか?

医師・看護師の指示に従ってもらうためには

正しく薬を服用してもらう為、自ら治療に専念してもらう為…、
医師や看護師は、何をするべきでしょうか?
指示・指導に従わそうとするのではなく、その先にどんな未来があるのか、今の病状がどう改善され、健康な体をとりもどせるのか?
それらを指し示すことこそが、患者さんの気持ちが重たくならず、積極的に治すことに専念できるよう促すためのポイントだと思います。

専門的な知識を持たない患者さんが医師や看護師の指し示す方向に、心のベクトルを向けられるようにする為には、
「指す」だけでなく「支える」ことも必要ではないでしょうか。
支えて導く⇒「支導」
医療現場では、指導だけでなく「支導」していくことを、お勧めします。

※「支導」は、私が医療コミュニケーション力において解り易く説明する為に、考えた『造語』です。
  近年、新入社員研修や接遇研修によく使用されることで目にする機会も多くなった「人材」⇒「人財」も造語です。
➢医療接遇・医療マナーの研修・講演をお考えの皆様
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谷澤優花
専門家

谷澤優花(ビジネスマナー講師)

谷澤優花

問題点や実際のクレーム案件など企業ごとに内容を把握した上で、研修の内容を組み立てています。研修中や研修フォローにIT技術を導入。現場ですぐに実践できるビジネスマナー・接遇を分かりやすく指導しています。

谷澤優花プロはテレビせとうちが厳正なる審査をした登録専門家です

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