患者の立場から見る病院の接遇マナー
患者の目線で考える、医師に対する信頼とは
日本医師会が示した「医の倫理綱領」では、患者との信頼関係についてこのように述べています。
『医師は医療を受ける人々の人格を尊重し、やさしい心で接するとともに、医療内容についてよく説明し、信頼を得るように努める』
これは、医師と患者の立場は人間としては対等であり、患者の意思を尊重しようとするもので、両者の間での共感や触れ合いの気持ちといった感情が重要なことを示しています。つまり「インフォームド・コンセント」=患者の自己決定権につながる「説明と同意」を尊重することが大切であるということです。
ではその為に、医師が患者さんに対して具体的にどのような対応をしていくべきなのか…。
『医療を受ける人々の人格の尊重』…その為に医師が具体的に取り組むべきこととして、会話の中での言葉遣いがあげられます。それは、診察など患者さんと接する際に、形式的で冷たい対応にならないようにすること。医師と患者さんが上下関係にあるのではなく互いを尊重しあった対等な関係であることを、会話を通して反映されなければならないということです。
つまり医療接遇マナーの点から言うと、正しい敬語・丁寧な表現を医師自身が自然と会話の中で使いこなせているかどうかが大きなカギを握っています。
それは、医師という専門職としての誇りをもちつつ、医療における専門的な言葉を患者さんにわかりやすく伝えるためにも、重要といえるでしょう。
医師が敬語を使うなら、正しい「尊敬語」を理解し、普段の言葉を見直すこと。
患者さんにとって厳しい内容を伝える場面や、個人的な内容に触れる際には、「クッション言葉」を使うことで、相手の受け止め方を和らげるというテクニックを身に付け、自然と話せるようにすることが求められると思います。
『やさしい心で接すること』…その為に医師が具体的に取り組むべきこととして、態度と行動、そして先ほども述べた言葉遣いがあげられます。
自分自身の健康と生命に関して不安や怖れを抱いている患者さんに、やさしい眼差しを向け、思いやりのある態度や行動で接することが大切なのです。
医師としての職務を遂行するために、たくさんの情報の中から病変の可能性を考え、目の前のカルテや検査結果に見落としがないようにすることも大切ですが、患者さんの正面に体を向けて、相手の目の高さでアイコンタクトを取りながら話しをすることは、信頼を得て診断を受け入れてもらう為にも、留意するべきことではないでしょうか。
➤患者に信頼される「言葉づかい、敬語」
患者の目線で考える、看護師に対する信頼とは
看護師にも、「看護者の倫理綱領」があり、患者との信頼関係の構築についての内容が示されています。
『看護者は、対象となる人々との間に信頼関係を築き、その信頼関係に基づいて看護を提供する』
『看護者は、人々の知る権利及び自己決定の権利を尊重し、その権利を擁護する』
この二つの行動指針は、患者さんとの信頼関係の大切さと、その関係があってはじめて効果的な看護援助ができるということ。そして、患者さんの理解度や意向を確認しながらわかりやすく説明し、意思表示しやすい場づくりや代弁者としての役割も担うなど誠意をもって応えていく必要性を明記しています。
つまり、医療接遇マナーの点から言うと、適切な看護や援助は、患者さんとの良好なコミュニケーションの上で成り立つため、患者さんの立場になって思いやりのある言葉かけや手助けをして、積極的なアプローチしていくことが大切といえます。そして、話しやすい雰囲気・わかりやすい言葉での会話・医師と患者さんとのパイプ役である為、上手に意思を伝えられない場合には患者さんの代弁者となることも求められます。また、患者さんのご家族も含め、生死や健康といったとてもデリケートな場面に直面するからこそ、普段使いの会話とは異なる改まった表現での会話を意識する必要があります。
具体的に説明するならば、「笑顔と真顔の使い分け」を意識すること。患者さん一人一人あった適切な判断の上での温かみのある「お声かけ」話しかけやすい雰囲気を与える為に、優しい微笑みと爽やかで清潔感あふれる「身だしなみ」を心掛けること。忙しい毎日の業務の中においても、患者さんのことを気遣える、心のゆとりを持つことも大切なのではないでしょうか…。
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医療接遇研修プラン
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➤患者の心理を踏まえた、丁寧で温かみのある応対とは
➤会話力の向上 きく力・話す力が身につく研修
◆ビジネスマナー・接遇を通し円滑なコミュニケーション方法を提案
問題点や改善点、実際のクレーム案件など企業ごとに内容を把握した上で、研修の内容を組み立てます。
現場ですぐに実践できるビジネスマナー・接遇を分かりやすく伝えています。
ビジネスマナー講師 谷澤優花