神様も正月気分は終わり?
こよなく金沢という町を愛し、旨い酒と料理を求めて金沢を訪れていた
一人の英文学者がいた。
彼の名前は、吉田健一(1912 ~ 1977)。
あの吉田茂の長男である、麻生太郎副総理の伯父にあたる。
その食通、愛酒家の彼が、有段者のための酒として命名した酒がある。
それが、福光屋酒造の「黒帯」である。
彼は、命名に寄せて以下の一文を残している。(原文のまま)
酒はただ飲めばいいやうなものでも
味がただの酒と思はせるものでなければならない。
それを飲む方はそれでいいのであっても、
その酒を造る方のくしんは並大抵のものではない。
言はば苦心すればする程ただ酒でしかないものが出来上がって
酒好きを喜ばせるといふことになるのだらうか。