就業規則を見せない介護の事業所ほど・・・
介護の事業所では、残業時間に上限を決めている事業所が、時々見受けられます。
例えば、残業は月20時間までという具合です。
この残業時間の上限を決めていても、意味がありません。
意味がないのは、次の2つの点からです。
1.実際の残業時間との差異が生じると、実際の残業時間が有効になります。
残業時間は、月20時間と決めていた場合で、実際の残業は60時間だったとします。
この場合は、月20時間までと決めていても、実際のほうが重要視されますので、
「うちでは、残業は月20時間まで」とい事業所側の主張は、通りません。
実際、事業所の職員が60時間残業しているわけですから、
その残業に見合った、時間外手当(残業手当、割増賃金なども同じ)を
支払う必要があります。
事業所によっては、いつも月20時間ほど残業が生じるので、
給料に、この月20時間の残業代を含めている事業所があります。
例えば、月20時間の残業代を含めて給料を支給している場合は、
・就業規則や労働条件通知書(雇用契約書)などに、その旨を明記している
→口頭で約束している場合が多いですが、
文書でわかるようにしておくべきです
・給与明細に、基本給とは別に、定額残業代などの項目で分けて支給する
・月20時間未満の残業であっても、給料の額は変えない
・月20時間以上の残業代は、別途支給が必要
これらの扱いが必要です。
2.月20時間までの残業なので、ダラダラ居残って残業している場合は、
残業の必要性を確認することが必要です。
1とは全く別の次元の話ですが、職員が月20時間は残業してもよい
と勘違いしている場合のことです。
日中の勤務時間は、ボーっと過ごし、勤務時間外になると仕事をしだす場合があります。
こちらも、上限月20時間まで残業代を出すといっているわけではないので、
残業の必要性をその都度確認し、不要な残業をなくしていく必要があります。
1.2のいずれにしても、実際に残業が必要なのか?という点が重要です。
仕事の量が多く、残業しないと業務が回らない場合があります。
事業所にしたら、残業のコストがかかりすぎと感じますが、
残業で残っている職員は、仕事へのプレッシャーや無力感にさいなまれている場合もあります。
長時間の残業は、職員のメンタル不調につながりますので、
一人の職員に業務が集中しないよう、業務分担の見直しや、
新たに職員を雇用し仕事を分け合うなど対策が必要です。
この時期、荒々しい日本海の海を思い出します。
荒々しいだけでなく、力強さも感じられるますね。
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※2020年7月10日に、記事の内容の一部を修正しました。