サービス残業対策④
タイムカードの不正打刻について、懲戒処分は可能でしょうか。
この点、このような不正打刻が横行すると職場のモラルが低下し、
働きやすい職場づくりに逆行することになります。
そのため、不正打刻については懲戒処分も可能と考えます。
実際に不正打刻を理由とした懲戒解雇の事例においても、
「解雇権の濫用とはいえない」との最高裁判例もあります。
(最判S42.3.2八戸鋼業事件)
ただし上記判例は、「故意」による不正打刻であったので、
懲戒「解雇」まで認められたと考えられます。
過失による打刻忘れや他人のタイムカードの打刻については、
解雇までの厳しい処分は相当ではありません。
そのため、注意する等の訓告程度の処分にとどめておきましょう。
それでも打刻忘れが頻発するような場合であっても、
せいぜい減給(日給の半額以内)にしておくことが無難で相当と考えます。
以上より、懲戒処分は可能であるが、「故意か過失か」等の
態様に応じて処分の内容を検討する必要があります。