アーモンドミルク
カーボカウントの始め方
前回は、食事療法、カーボカウントの基本的な考え方をご紹介させていただきました。
今回は、カーボカウントの実践編です。カーボカウントを導入することで、目の前にある食事に応じたインスリン量を決められるようになります。
カーボカウントを4つのステップで実践していきましょう。
ステップ1 糖質比
1単位のインスリンで食べることの出来る炭水化物量(g)のことを言います。
計算式は、
糖質比(g/ インスリン1単位)=糖質(g)÷インスリン(単位)
となります。
ご自身の糖質比がいくらくらいか想像できる方は、なかなかいらっしゃらないと思います。
そこで、糖質比を推測するための推定式があります。それを、500ルールと言います。
500を1日の総インスリン使用量(単位)で割ったものが、糖質比の目安になると言われています。
例えば1日に25単位のインスリンを使用されている方であれば、糖質比の求め方は、
500÷25=20 となります。20gの炭水化物を食べる時に、1単位のインスリンを投与すればよいのではないかと推測されます。炭水化物が100g含まれる親子どんぶりを食べる場合は、100÷20=5 となり。5単位のインスリンを打てばよいことになります。あくまでも目安ですので、この値を元に実生活で試しながら、ご自身にあった糖質比をみつけていってください。
ステップ2 インスリン効果値
1単位のインスリンで低下する血糖値(mg/dl /インスリン1単位)のことを言います。
この場合の血糖値の低下とは、食事と関係ない場合の血糖変動のことを言います。そのため、食後3~4時間程度経過した場合に、血糖値を下げるために打つインスリンと考えてください。
このインスリン効果値を推定する方法に、1800ルールがあります。
1800を1日の総インスリン使用量(単位)で割ったものが、だいたいのインスリン効果値になると言われています。勿論、体重や年齢、活動量などの様々な要因で変化する値ですので、あくまでも参考値です。
例えば、1日に合計30単位のインスリンを使用している方であれば、
インスリン効果値の求め方は、1800÷30=60 となります。食事を摂らない状況で1単位のインスリンを打てば、約60 mg/dlの血糖降下が得られると期待できます。これを基準に実際の生活の中で、ご自身のインスリン効果値を探していくことになります。
ステップ3 目標血糖値
次の食事前に達成したい血糖値のことです。
90 mg/dl ~ 130 mg/dl程度に設定することが多いです。
ステップ4 食前のインスリン量を決定する
目の前にある食事の炭水化物量を見積もって、ステップ1で考えた糖質比を用いて、食事のために必要なインスリン量を計算します。この時に、もし食事前の血糖値が高ければ、もう少しインスリンを多く打てば、次の食事前には血糖値はもっと下がるはずです。この少し足すインスリン量は、血糖値を修正するために必要なインスリン量ということになります。ステップ2のインスリン効果値とステップ3の目標血糖値は、現在の血糖値を修正するためのインスリン量を決めるために必要なステップということです。
つまり、カーボカウントを用いて決める食前に必要なインスリン量とは、
(食事のために必要なインスリン量)+(血糖値を修正するために必要なインスリン量)
ということになります。
実際に、親子どんぶりを食べるとすると。。。
いかがでしょうか。最初は難しいと思われるかもしれませんが、ある程度すれば多くの方は慣れてきます。インスリン注射に振り回されて、食べるものを制限してしまうより、思い切ってカーボカウントを実践してみませんか。今回はカーボカウントの計算方法をお伝えさせていただきました。あとは炭水化物の見積もり方がもう1つのハードルかと思います。最近は、多くの食品に炭水化物量の記載がありますので、それを参考にできると思います。炭水化物量の記載がないものに関しては、少しコツがいるかもしれません。また別の機会に、炭水化物量の見積もり方もお伝えできればと思います。