オリゴ糖とは~後編・オリゴ糖と砂糖の違いをご存じですか~
はじめに
最近、特定保健用食品(トクホ)のマークを見かけることが多くなりました。トクホとは、「血糖・血圧・血中のコレステロールなどを正常に保つことを助ける」「おなかの調子を整える」「骨の健康に役立つ」などの保健機能成分を含む食品で、消費者庁長官の許可を得て特定の保健の用途に適する旨を表示できる食品です。その特定保健用食品としてオリゴ糖が注目されています。
そもそも「糖」とは何を意味しているのでしょうか。まずは「糖」の最小単位である単糖類から考えてみたいと思います。
単糖類とは
糖尿病における糖とは、ブドウ糖(グルコース)のことを指します。ブドウ糖は、人が生命活動を維持するうえで欠かせないエネルギー源です。人はこのエネルギーを獲得するために食欲が備わっています。このブドウ糖は糖類の中でも単糖類(糖の最小単位)と呼ばれ、糖類の基本になります。ブドウ糖の分子は六角形をしていますので、図中では六角形でブドウ糖を表しています(図参照)。
自然界に最も多く存在する糖はブドウ糖ですが、単糖類にはブドウ糖以外にも、果物に多く含まれる果糖(フルクトース)やガラクトースなどがあります(図参照)。
二糖類とは
次に、この単糖類が2つ結合したものを二糖類と言います(図参照)。
いわゆる砂糖の主成分は、ショ糖と呼ばれる二糖類で、単糖類のブドウ糖と果糖が1つずつくっついたものです。乳糖(ラクトース)は、単糖類のブドウ糖とガラクトースがくっつき、麦芽糖(マルトース)はブドウ糖が2つくっついたものです。同じくブドウ糖が2つ結合してできる二糖類に、トレハロースというものがあります(図参照)。マルトースとトレハロースはともにブドウ糖が2つ結合して出来た二糖類ですが、その2つのブドウ糖の結合の仕方や、分解様式に違いがあります。それぞれ、二糖類から単糖類のブドウ糖に分かれるときに、必要な酵素が違うため、分解され易さが異なります。実は、お腹の中に入った糖類は、腸で分解されて、単糖類になって初めて体内の血液中に入っていきます。そのため、分解しにくい糖類は腸の中に入っても、腸から体内に取り込まれずに、腸のなかにとどまることになります。マルトースとトレハロースでは、トレハロースの方が分解されにくいため、トレハロースを摂取した場合に、ブドウ糖としては体内に入りにくく、血糖値の上昇を抑えられるという利点も発揮します。
オリゴ糖とは
単糖類、二糖類の話をしてきましたが、そろそろオリゴ糖に話を移していきたいと思います。
オリゴ糖のオリゴとは、ギリシャ語で少ないという意味があります。そのため、オリゴ糖は小糖類とも言われます。この「少ない」の言葉の定義の問題になるわけですが、単糖(類)が2個から10個程度結びついたものが、少糖類と言われています。そうであれば、ショ糖・麦芽糖・乳糖などの二糖類も少糖類(オリゴ糖)に分類されますが、一般的には3つ以上の糖が結合したものがオリゴ糖と呼ばれています。
オリゴ糖だけ、特別にカタカナの称号が与えられているのには、理由があります。ブドウ糖などの単糖類やショ糖(いわゆる砂糖)などの二糖類に比べて、腸の働きを整える作用や腸内細菌を増やす作用などがあるため、健康的な糖として注目されているのです。
後編に続く