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影山正伸

労務管理(給与計算含む)と人事・賃金体系整備に精通した社労士

影山正伸(かげやままさのぶ) / 社会保険労務士

影山社会保険労務士事務所

コラム

「有期雇用特別措置法」が成立。「改正労働契約法」の「特例措置」という位置づけ

2014年11月19日

テーマ:有期雇用特別措置法

コラムカテゴリ:ビジネス

10月29日、「専門的知識等を有する有期雇用労働者等に関する特別措置法」(有期雇用特別措置法)が参議院本会議で可決されました。来年4月1日に施行される予定です。
この法案は、そもそも平成25年4月1日より改正された「労働契約法」により、平成25年4月1日以降に有期労働契約を締結した従業員が5年を経過して、次の契約の際に無期契約を希望した場合、企業はそれを拒むことが出来ない、というものに特例を設けるために作られた法律です。ただし、拒否できる上限は10年までとされました。

「改正労働契約法」の特例措置という位置づけ

次の(1)と(2)に該当する従業員については、5年ではなく10年まで無期転換させなくて良いということです。
(1) 5年を超える一定の期間内に完了することが予定されている業務に就く高度専門知識等を有する  
 有期雇用労働者
(2) 定年後に有期契約で継続雇用される高齢者

(1)の「高度専門職等を有するの有期雇用労働者」については『一定の国家資格保有者』『年収1,075万円以上の技術者、システムエンジニア、デザイナー』等が想定されているのですが、該当する方はそう多くはいないでしょう。しかし、(2)の「定年後に有期契約で継続雇用される高齢者」は、相当数に上ると思われます。この法案が出来なければ、労働契約法により、例えば60歳定年後継続雇用をされていて、更に65歳以降も雇用する場合に、本人が無期契約を希望した場合、それを拒むことが出来ませんから、企業は終身雇い続けなければならない、という解釈ができてしまっていました。それは、あまりに企業負担が大きいものでした。そのため、今回の法律が成立したということです。平成30年4月1日以降、5年経過する方が初めて出てくるのですが、それまでに何か対策を取らなければと考えていた企業にとっては、朗報です。また、労働者にとっても、企業側が対策として65歳以降の契約は一切しない、ということを取らなくなるので、65歳で雇止めをされず、もう少し延長して働くことが出来そうです。

ただし、「計画書」の作成・提出が必要

ただし、企業が無期転換に関する特例の適用を受けるには、「対象労働者の特性に応じた雇用管理に関する措置についての計画」(計画書)を作成・提出して、厚生労働大臣の認定を受ける必要があります。その内容については、これから厚生労働省令(施行規則)において明らかにされるとのことです。一手間は、増えますが、しっかり対応しましょう。

この記事を書いたプロ

影山正伸

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