政府の経済対策:最低賃金24円UP 雇用保険料率0.2%DAWN
最低賃金は、最低賃金法で定められており、毎年10月に都道府県別最低賃金が改定されます。この法律は、労働基準監督署が取り締まり、また罰則もありますから、大変強い法律で、事業所とすると違反する訳には行きません。小泉政権の時に、雇用の規制緩和が行われ、派遣労働者などの増加により、非正規労働者のワーキングプアが問題になりました。その際、生活保護費よりも低い最低賃金が、やり玉に上がり、2006年より大幅な上昇を始めます。2013年には全国平均15円UPの764円になって、生活保護費よりも低い最低賃金は北海道、宮城、東京、兵庫、広島と5県だけになりました。そして本年2014年には16円UPの780円になり、全国で生活保護費より低い最低賃金は解消されました。
生活保護費よりも低い最低賃金では、働くよりも生活保護費を支給された方が得です。これでは、労働意欲が削がれるのは間違いなく、本年にようやくそれが解消された、というところです。
最低賃金の上昇は、かえって雇用不安を招く?
ワーキングプアの解消、格差是正のための最低賃金引き上げですが、しかしながらその目的は達成されないのではないか、と経済学者の間で賛否があります。否定的な意見として、下記が上げられています。
1.企業負担が増え企業の採用を慎重にさせてしまい、かえって雇用が増えない
2.最低賃金以下の生産性しか持たない、特に若年者等の雇用が奪われ、かえって貧困に陥る
3.裕福な世帯主の配偶者などのパート労働者にも最低賃金が適用されるため貧困対策としては不十分
以上により、あまり政府が賃金について介入せず、市場原理に任せるべきだ、という意見も多く言われています。
現在、フランスのオランド政権では、硬直化した労働市場を改革し、失業率を下げるため、実質的な最低賃金の引き下げが検討されたりもしています。
今後の最低賃金引き上げは慎重に行うべきか・・・
本年より、生活保護費より低い最低賃金は解消されたわけですから、今後の引き上げについては慎重に行うべきかと思います。民主党政権時代には、全国一律1,000円などと言われていましたが、確かに社会保障費を賄うため増税するよりは、最低賃金を上げることの方が国民受けが良く見えるのでしょう。実際、2006年より毎年大幅に上げてきました。しかし、政府があまり規制をかけるとかえって、企業活力を割き雇用が増えない可能性が高いのではないでしょうか。ワーキングプアの解消、格差是正を行うのなら、世帯別の給付付き税額控除など、別の手段で行うべきではないでしょうか。いずれにしろ、今後の最低賃金は、2006年以降のような大幅な引き上げは、慎重にすべきでしょう。