男性の育児休業

影山正伸

影山正伸

テーマ:育児休業

 日本生命が、男性社員に対し、育児休業の取得を原則義務付ける、と報道がありました。その狙いですが、2点あるとのことです。1点目は、女性の活躍を推進する上で男性にも家事や育児に対する理解を深めてもらい、仕事と両立することの大変さを分かってもらいたいということ、2点目は、チームで仕事をしよう、効率よく仕事を進めようと自分たちの働き方を変えるきっかけになって欲しいとのことです。

国の制度も後押し(育児休業給付が50%から67%へ)

本年4月より、育児休業をした場合に雇用保険から支給される育児休業給付金の給付額が、休業開始前賃金の50%であったものが、休業開始6か月までは67%へと、増額されました。この背景には、男性の育児休業取得率を上げたい、ということがあります。2012年厚生労働省調査によりますと、男性の育児休業取得率はわずか2.63%です。男性の給与の方が、どうしても女性よりも高いために、女性が休業をした方が、世帯としての収入が減らなくて済む、ということが理由の一つとしてあげられます。そこで、休業開始6か月でも給付率を上げることで男性が休業しても、世帯としての収入が減らなくなり、男性の休業がしやすくなるということです。

女性の活用が待ったなし

 アベノミクスによる景気の回復もあり、平成26年5月の有効求人倍率は1.09倍と上がってきました。すき屋が人手不足で閉店したり、従業員を囲い込むためユニクロがアルバイト・パートを限定正社員に引き上げたり、スターバックスが契約社員のほぼ全てを正社員化したりという話題が、今年になって出てきています。少子高齢化と相まって、人余りから一気に人手不足の状態です。この労働力不足を補うためには、女性、高齢者、外国人をうまく活用していくしかありません。女性が社会へ出て働くためにも、男性も育児・家事に参加し、女性のそれの軽減を図ることが必要不可欠なのです。
 育児休業給付がの給付率が67%に上がり、金銭的なバックアップはされましたが、これだけで男性の育児休業は増えないでしょう。まだ社会的に男性は仕事、女性は家庭で育児・家事、という考えが根強くあります。この意識を会社も、労働者も変えていかなければならないでしょう。また、長時間労働は当たり前、という意識も変えていかなければなりません。皆がまだ残業をしているのに、育児があるから帰ります、とは言いにくい、こんなことが無いようにしていく必要があります。成果により評価をし、決して長時間労働しなくても評価される、ということが必要でしょう。
 意識改革・制度改革には、時間がかかるかもしれません。しかし、少子高齢化を考えると、「待った」の時間は長くありません。
 

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影山正伸
専門家

影山正伸(社会保険労務士)

影山社会保険労務士事務所

手続業務、給与計算はもちろん、労働基準監督署労災課、監督課での実務経験を活かし、従業員とのトラブル解決、労務管理の諸問題の相談・指導に特に強く、また、賃金体系・人事評価制度の整備にも詳しい。

影山正伸プロは朝日新聞が厳正なる審査をした登録専門家です

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