年収のカラクリ ~年商5億円を超えた経営者たちの、自分の年収の決め方の技~
1、物価高の原因
コロナ禍の終盤と、ロシアのウクライナ侵攻に端を発した物価上昇は、デフレに長年慣れた日本人と日本企業に、大きな打撃を与えました。
この物価高の原因は、コロナ禍の沈静化とともに始まった活動の再開による購買の活性化と、ウクライナ侵攻を行ったロシアという資源大国への制裁による資源の価格の上昇を主な原因としています。
物価高、すなわちインフレーションは、国家の経済政策では、デフレーションよりも、ずっと対応が困難です。
上がる物価に生活を対応させるために、政治家が実施する賃金アップを後押したり、補助金や支援金などを配る政策は、市場にカネを増やすことに繋がり、インフレを更に加速させ、上昇した賃金分のカネや配ったカネは、配られたヒトを通過して、強い企業の利益として留保されます。
インフレと、インフレに国民を対応させる政策は、追いかけっこのように、インフレを加速させてしまいます。
かといって、経済学の教科書に書かれているような、金融引き締め政策や財政の引き締めを行うと、経済が停滞します。現在のロシア侵攻の制裁などのようなマクロの要因が絡んだインフレは、経済の引き締めで沈静化するとは限らず、それが失敗すれば、不況とインフレが同時進行する、スタグフレーションという最悪な事態を齎してしまいます。
現在のインフレは、経済学の教科書に書かれている景気循環論に基づく、単純なものではありませんので、政府や中央銀行の経済政策は、非常に高度なインフレ政策技術を必要とするのです。
2、物価高で勝つヒトは、どのような思考と行動をしているヒトか?
したがって、今の物価高は、簡単に是正されるわけではありません。ロシアのウクライナ侵攻の帰結如何にかかわらず、物価高は、今後も継続し、インフレは進行を続けるでしょう。
元来、人類の経済史は、インフレの歴史でした。1990年代からはじまった、「失われた30年」で、日本人は、長期のデフレに慣れてしまい、物価高を経験してきませんでした。
長期デフレの間に、特に、ゆとり世代・ミレニアム世代とZ世代の日本人は、インフレと物価高を経験せずに生きてきてしまいました。
デフレ時代というのは、競争が緩やかになり、賃金もあがらず、物価もあがりません。そのため、ゆとり世代・ミレニアム世代やZ世代の日本人には、競争意識や賃金上昇意識が希薄で、「生活ができればいい」という意識が強いわけです。
しかし、時代が、デフレ基調からインフレ基調に入ると、このファンダメンタルズは、まったく違ってきます。
物価高の時代に勝つのは、競争に打ち勝つ意識が強く、賃金や給与があがることに強い目的意識を持ち、時代に適合して迅速に動けるタイプのヒトや企業です。
3、物価高は、弱者を打撃する
一般的な経済書には、インフレに最も弱いのは、年金所帯であると書かれています。つまり、インフレは、弱者が最も打撃を受けるファンダメンタルズです。
物価の上昇により、預金は使わないのに価値が目減りし、物価上昇に賃金上昇が追いつけない生産性の低いヒトは、どんどん貧乏になってしまいます。
デフレ時代は、不況で、物価が安定しているため、みんなの賃金があがらない、「平等の時代」でした。
日本では、1990年以降、このような、「平等の時代」が長くい続きました。
コロナ禍明けとともに始まった、インフレ時代は、このデフレ時代の生活感覚や人生感覚が裏目に出る時代です。
物価があがるということは、売れる商品を持つ企業の売上高は、その分、かさ上げされます。一方で、商品価格があがれば、消費者の購買余力はその分だけ減りますから、「なくてもよい商品」「売れない商品」を扱う企業は、売り上げが落ちます。
デフレ時代というのは、弱者にやさしい時代です。世の中が、停滞しているため、努力が実るとはいえず、強者が勝てるとはいえない時代です。
一方、インフレ時代は、強者の努力が実り、弱者との格差が開きます。インフレ下で、政治家が票を獲得するために行う、賃上げやバラマキの結果、市場に出たカネは、や弱者を素通りして、強い企業の利益として留保されてしまいます。
これが、よいか悪いかはともかくとして、実際に、人類の歴史の中のインフレが、人類に格差を生み出してきたことは、確かです。
今、日本は、30年間に及ぶデフレ時代の幕が閉じ、インフレ時代が到来しました。このインフレ時代は、簡単には、解消しません。
これは、日本に、再び、挑戦の時代がやってきたことを意味します。日本人は、年齢を問わず、すでに、前のインフレ時代の高度成長期からバブル時代にかけての生き方や経験を、忘れていたり、経験をしていなかったりしています。
したがって、このデフレ時代の平穏な経済のファンダメンタルズに慣れた人たちに対し、挑戦と努力を行うアントレプレナー精神豊かな人が、競争優位に立ち、勝ち組になれるチャンスが到来したのだと僕は考えています。
4、強い物価上昇環境で、勝てるヒトや企業となるためには?
今、日本はインフレ時代に突入しました。中央銀行である日銀は、スタグフレーションという最悪の状態に至らないように低金利政策を持続し、政府は企業に対して賃金の上昇の圧力をかけています。
したがって、インフレは持続すると予想されます。失われた30年という、デフレ時代は、完全に終わり、日本は、インフレ時代に突入しました。
「生活ができればいいから、仕事よりも生活を重視して、できるだけ働きたくない」
「賃金が下がっても、自分の時間を大切にしたい」
このような思考は、豊かになった時代の考え方ではなく、デフレ時代の考え方です。物価があがらなければ、あえて、賃金をあげることをせずに、働く時間を減らしも生活は成り立ちます。
しかし、インフレ時代には、上記のような考え方をしている人は、どんどん貧乏になってしまいます。物価があがるため、これまで普通の購買されていた商品も、消費者の選別にあって売れなくなります。価格があがっても、消費者が購買を行う強い商品や、賃金があがっても雇用をしたいという生産性の高いヒトが勝ち、そうでない商品やヒトは、淘汰される時代が、インフレ時代です。
強い商品・サービスをかかげて、起業をする人には、物価が上昇してゆくため、売り上げがあがり、上昇気流が吹きます。
コロナ禍も、デフレも、終わりました。
今、ここから負け組になりたくないあなたは、仕事や事業に向き合う思考をインフレ型に切り替える必要があります。
挑戦する思考に、切り替えいくことが、物価高の時代に勝ち残る重要な条件です。
松本尚典の中小企業経営者支援コンサルティングサービス
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