年収のカラクリ ~年商5億円を超えた経営者たちの、自分の年収の決め方の技~
何故、政府は、副業解禁の推進をするのか?
「副業」が、ある種のブームになっています。
政府は、旗振りをするように、この副業の後押しをしています。
この現象。あなたは、不思議だと思いませんか?
「働き方改革」という政策は、基本的には、ワークライフバランスによる労働時間短縮を目指す政策です。そこに、突如、労働時間が増加する副業というキーワ-ドが、そっと差し込まれているわけです。
本業では、「残業をさせるな」「残業手当を確実に払え」と、企業に求める。その一方で、本業以外の場所になると、突如、労働時間が増大するはずの副業が推進される。
これ、なんか変だぞ、と、感づいたあなたは、ズバリ、鋭いです。
この違和感。
おかしいと思いませんか?
実は、政府の働き方改革と、副業推進などの政策の「本当の狙い」は、政府の「文字通り」の政策目標を観ていたのでは、見ていたのではわかりません。
政府の副業推進の裏の理由は、副業の所得のほうが、源泉徴収額が非常に多いから
結論から言えば、この政策の裏側には、「税収の確保」という共通政策目標が隠れています。
今日は、それを解き明かしていきます。
まず、働き方改革の、ライフアンドワークバランスは、消費税収を高めます。税の体系を、法人税や所得税中心の政策から、消費税中心の政策に移行させ、消費税率をあげた政府も、消費ぞれ自体が高まってこなければ、税収を確保することはできません。税収をあげるためには、消費を拡大させる必要があります。
高齢化が進む日本では、その人口構成が増える高齢者に高い消費を期待できません。現役世代に消費をさせなければ、消費税収は増えません。消費をさせるためには、働く時間を圧縮させ、それを使わせる必要があります。このため、現役世代の働きすぎを抑制し、消費を活性化させる必要があります。
同じ政策が、インバウンドによる外国人の観光奨励策にも見えます。外国人がいくら日本にきても、法人税や所得税の方法は、企業や個人の所得に対する課税ですから、直接的に税収がアップされるとは限りません。一方、消費税は、インバウンドの外国人が使う消費から直接、税収を確保することができるわけで、これが、政府がインバウンドに突如、熱心になりだした理由です。
では、副業の場合、どうでしょうか?
皆さんは、企業の総務人事部門が使用する源泉徴収税額表というものを観たことがありますか?
皆さんが、会社で貰う給料では、会社は皆さんにお支払いをする前に、所得税を源泉徴収する義務があります。そのため、皆さんには、必ず、給与が源泉徴収されて、振り込まれるはずです。
この源泉徴収は、国税庁が出している源泉徴収税額表によって、算出されます。
この表をみてみると、皆さんがえた総所得から、社会保険や扶養人数などを考慮にいれ、源泉徴収額が決まります。
さて、皆さんが、本業の給与をもらう場合、この計算は、甲欄と呼ばれる部分で行われます。
実は、この甲覧での計算ができる事業所は、一人一か所と定まっています。
では、副業のように2か所目以降から所得をえる場合はどうなるかというと、これは、乙覧と呼ばれる部分で計算されるのです。
この甲覧と、乙覧を比較してみましょう。
以下では、令和2年分の源泉徴収税額表に従っていきます。
例えば、扶養家族が2名というサラリーマンを、例にとります。
本業で、20万円の所得をえた場合、甲覧によれば、源泉徴収額は1,530円となります。
一方、同じ方が副業で所得をえた場合、乙覧に従いますので、源泉徴収額が、なんと、20,900円になります。
え!
なんで、同じ20万円の所得をとっているのに、所得税の源泉徴収額が1,530円と20,900円と、全然違うの?
そう、そうなんです。
甲欄での所得税と、乙覧の所得税は、同じ、金額でも、乙覧のほうが全然、高いのです。
つまり、こういうことです。
皆さんが、本業で努力をして、20万円の給与をアップさせるよりも、副業で20万円の所得を稼ぐほうが、所得税の源泉徴収額が、圧倒的に高いのです。
なんとなく見えてきましたね。
これが、政府が副業の旗振りをしている理由です。政府は、本業では労働時間を圧縮させ、同時に、副業での所得を増やさせることで、大幅な所得税収のアップを狙っているのです。
これが、副業解禁の裏事情です。
日本では、副業で個人の所得を増やしても、本業と比較し、源泉徴収額が非常に高くなる構造になっており、皆さんの手元には、手取りが圧倒的に少なくなってしまいます。
働き方改革も、副業推進も、ともに、政府の税収の増大という、裏の目的で、旗が振られています。
この政府の思惑に乗っても、決して、皆さんは豊かになれず、税金を多く払うために、仕事を頑張るだけになります。
では、どうすれば、本当に自分のためになる副業ができるのか?
そう、それこそが、このコラムで、これから、皆さんにお伝えするコンテンツです。
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