保釈保証金は何で決まるのか|返ってくる条件と返ってこない場合
この記事は2026年9月時点の法令に基づいて書いています。ストーカー行為等の規制等に関する法律(ストーカー規制法)については、令和7年12月30日施行分および令和8年3月10日施行分の改正を反映しています。個別の事情によって結論は変わりますので、具体的な対応はご自身の状況に即してご検討ください。
「◯◯代理人弁護士」という差出人の書面が自宅に届き、そこに自分の行為がストーカー行為に当たると書かれていた。こうした書面を手にした方からのご相談を受けることがあります。内容に思い当たる点がある方もいれば、連絡を取っていたことは事実でも、そこまでのつもりはなかったと受け止めている方もいます。
この種の書面については、「無視してはいけない」「すぐに謝罪すべきだ」という説明をよく見かけます。どちらも一面では正しいのですが、金銭の支払を求める通知とは性質が違います。求められているのは主に接触をやめることであり、支払のように「応じた」と外から分かる形が残りません。返答の仕方も、請求書への回答とは別に考える必要があります。
この記事では、ストーカーと名指しする書面を受け取った方が、最初の数日で何をどう判断すればよいのかを整理します。すでに警察から警告を受けている段階の話や、金銭の請求が中心の書面への対応は、それぞれ別の記事に譲ります。
書面が届いた時点で、前提がひとつ変わっています
「拒まれた」ことが、記録の残る形で伝わった
ストーカー規制法は、電話、文書、電子メールやSNSのメッセージなどについて、拒まれたにもかかわらず連続して行うことを規制の対象としています(法2条1項5号)。警察庁の通達では、この「拒まれた」には黙示のものも含まれるが、行為をした側が拒絶を認識していることが必要であるとされ、相手方から直接拒まれる場合だけでなく、警察から拒んでいる旨を告げられて認識した場合も該当すると説明されています。
代理人名義の書面は、拒絶の意思と、それが伝わった日付とを、外から確認できる形で残します。それまで「はっきり断られたわけではない」と受け止めていたとしても、書面が届いた後は、その前提が取りにくくなります。
同じ一回でも、届く前と後では見え方が変わり得る
規制の対象となる行為の一部は、不安を覚えさせるような方法で行われた場合に限られます。通達は、その判断について、通常一般人を基準としつつ、行為者と相手方の人的関係、行為の具体的な態様、同種行為の回数や頻度、さらに警察による警告や禁止命令等との先後関係を総合的に勘案するとしています。時期の前後が評価に影響し得るという考え方です。書面が届いた後の一回は、届く前の一回と同じようには受け止められないおそれがあります。
返答するかどうかは、二つに分けて考える
この書面には、性質の異なる二つの要求が含まれていることが多くあります。ひとつは今後の行動についての要求、つまり連絡や接近をやめることです。もうひとつは、書面に書かれた事実関係を認めるかどうかという点です。前者は何もしないことで応じる形になるため、応じていることが相手には見えません。
返答しないことと、接触をやめることは別の話です。連絡を止めていれば要求そのものには応じていることになりますが、記録には何も残らないという状態になります。
返答しないという選択が成り立つ場面
書かれた事実に大きな争いがなく、今後関わるつもりもなく、金銭や物の清算も残っていない場合には、返答せずに接触を断つという対応が現実的なこともあります。その場合でも、届いた書面と封筒は保管しておいてください。いつ受け取ったかが、後から問題になることがあります。
返答しておいたほうがよい場面
- 書面に書かれた事実に、日時や回数など明らかな誤りがある。
- 貸したお金や預けた物など、清算の必要が残っている。
- 職場や学校が同じで、接触を完全には避けられない事情がある。
- すでに警察から連絡を受けている。
書面に記載された回答期限は、相手方の代理人が定めたものであり、過ぎたことで直ちに不利益が生じる性質のものではありません。もっとも、返答がないこと自体が、行為を繰り返すおそれの説明材料として扱われることはあります。窓口が代理人に移ったことの意味は、受任通知とは何か|送られると相手方との関係はどう変わるかでも説明しています。
用件が正当でも、本人への直接連絡は避ける
弁護士職務基本規程52条は、相手方に法令上の資格を有する代理人が選任されたときは、正当な理由なく、その代理人の承諾を得ないで直接相手方と交渉してはならないと定めています。これは弁護士を拘束する規範で、ご本人を直接縛るものではありません。それでも、書面が届いた後にご本人から直接連絡することは、避けていただきたいと考えています。
誤解を解きたい、ひとことだけ謝りたい、預けた物を返してほしい。いずれも動機としては理解できるものです。ただ、ストーカー規制法2条1項3号は、面会、交際その他義務のないことを行うよう要求することを対象としており、通達は、実際に債権があり、要求することについて正当な権利を有しているといえる場合であっても、その権利の濫用に当たるときは同号に該当すると説明しています。用件が正当であることだけでは、線引きができないということです。
「届いていない」「本人には言っていない」は理由になりにくい
通達によれば、着信拒否の設定がされていても、着信履歴から連続してかけたことが認められれば該当し得るとされています。SNSのメッセージ機能を使ったやり取りや、相手方が開設しているブログ、SNSのページへの書き込みも対象に含まれます。また、規制の対象は本人に向けた行為に限られず、配偶者や親族のほか、その人の身上や安全を配慮する立場にある者(恋人、友人、職場の上司など)に向けた行為も含まれます。共通の知人を介した伝言も、同じ枠で見られることがあります。
書面の内容に事実と違う点があるとき
事実と違う記載があるときに、それを伝えること自体は問題ありません。気をつけたいのは伝え方です。相手が不安を感じたこと自体を否定する調子で書くと、やり取りが感情の応酬に移り、事実の食い違いのほうが伝わらなくなります。認否は、出来事ごと、日付ごとに分けて書くほうが伝わります。
宛先と形の決め方
返答は、相手方ご本人ではなく代理人宛てに、書面で行います。控えを残し、送った日が分かる方法を選んでおくと、後で経過を説明するときに役立ちます。
書くこと、書かないこと
| 書いておくこと | 避けたほうがよいこと |
|---|---|
| 今後は連絡や接近をしない旨 | 相手の私生活や人格に触れる記述 |
| 争いのない事実と、誤りのある事実の具体的な指摘 | 周囲に確認する、第三者に話すといった示唆 |
| 清算が必要なものは代理人を通じて協議したい旨 | ひな形をそのまま使った、内容の曖昧な謝罪 |
禁止命令等が出される前には、原則として行政手続法に基づく聴聞が行われることになっています(法5条2項)。緊急を要する場合には命令が先に出され、事後に意見の聴取が行われます(同条3項)。言い分を述べる場は後の手続にも用意されていますので、書面を受け取った日や手元に残っているやり取りは、その時まで保全しておいてください。金銭の請求が併せて届いている場合の考え方は、内容証明が弁護士名で届いた|慌てて払う前にやるべきことで扱っています。
何もしないまま時間が経つと、次に何が来るのか
書面は私人から私人への通知で、それ自体に強制力はありません。ただ、行為が続いていると受け止められた場合には、次のような手続に進むことがあります。
| 次に来ること | 動く主体 | 主な要件 |
|---|---|---|
| 警告 | 警察本部長等 | 申出または職権があり、不安を覚えさせる行為と、更に反復するおそれが認められること(法4条1項) |
| 禁止命令等 | 公安委員会(警察本部長等に委任されることがあります) | 同様の要件に加え、原則として事前に聴聞を行うこと(法5条) |
| 捜査・検挙 | 警察 | 対象となる行為が反復して行われたと評価されること(法18条) |
警告は、令和7年12月30日に施行された改正により、相手方からの申出がない場合でも職権で行えるようになりました。警告書は直接手渡すのが原則で、やむを得ない事情があるときは郵送されます。通達では、受け取らなかった場合であっても、内容を了知できる状態になっていれば効力は生じるとされています。禁止命令等の効力は命令の日から1年で、必要が認められれば延長されることがあります。
罰則は、ストーカー行為をした者が1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金(法18条)、禁止命令等に違反してストーカー行為をした者が2年以下の拘禁刑または200万円以下の罰金(法19条)、禁止命令等に違反した者が6か月以下の拘禁刑または50万円以下の罰金(法20条)とされています。法18条の罪は、平成28年の改正により、告訴がなくても起訴できるものとなりました。
もうひとつ、警告を経てから捜査が始まるとは限りません。警察庁の通達は、危険性や切迫性に応じて、行政措置を優先する考え方を排除し、第一義的に検挙措置等による防止を図るとしています。すでに警察から警告を受けている段階の方は、警察から「警告」を受けた|前科はつくのか、次に何が起きるのかもあわせてご覧ください。
よくあるご質問
身に覚えがない場合でも、連絡を止めたほうがよいのでしょうか
書かれた内容に納得できないときでも、連絡を止めること自体が不利に働く場面は考えにくいと思います。反論は、代理人宛ての書面や、後の手続の場で述べることができます。連絡を続けながら反論するより、止めたうえで述べるほうが、内容を検討してもらいやすくなります。
書面が届いただけで、前科がつくのでしょうか
前科は刑事手続を経た有罪判決の結果として残るものですので、私人からの書面が届いたこと自体で生じるものではありません。ただ、この書面とその後の経過は、警察や裁判所に対して事情を説明する資料として使われることがあります。
預けた物や貸したお金は、あきらめるしかないのでしょうか
請求できる余地が残ることはあります。ただ、その求め方のほうが問題になり得ますので、ご本人同士でやり取りするのではなく、代理人を窓口として進める方法をご検討ください。相手方に代理人が付いている場面では、こちらも代理人を立てて話を通すことができます。
書面が届いた直後は、説明したい気持ちと、そのままにしておきたい気持ちの両方が出てくる時期だと思います。どちらに寄っても後から取り返しがつきにくくなりやすい場面ですので、動く前に一度、事実関係と手元の記録を整理しておかれることをお勧めします。
同じような状況でも、経緯や残っている記録によって取れる手段は変わります。どこから手をつければよいか判断がつかない段階でも、事実を整理するところからご一緒できます。
当事務所では、電話・メール・LINEのうちご希望の方法でご相談をお受けしています。ご都合のよい手段をお選びください。
早い段階でご相談いただくほど、選べる手立ては多く残ります。迷っている段階でも、まずはお気軽にお声がけください。


