不同意性交等罪とは?風俗の本番トラブルで問題になる点を弁護士が解説
ご相談前の状況
依頼者:男性(会社員)
トラブル内容:突然の自宅捜索および不同意性交等致傷罪の容疑による警察の取調べ
依頼者の男性はある日の朝、出勤のために自宅を出たところ、警察署の刑事から声をかけられました。不同意性交等致傷罪の容疑で捜索差押許可状が出されている旨を告げられ、在宅中であった配偶者の面前でそのまま自宅のガサ入れ(家宅捜索)を受ける事態となりました。
その後、警察署へ同行して任意取り調べを受けた際、約半年前にあるメンズエステ店舗にて性行為を強制し、女性キャストに負傷させた疑いが掛けられていることが判明しました。
男性は過去に複数のメンズエステを利用した経験はあるものの、指摘された店舗を利用した明確な記憶がなく、強引な性行為に及んだ覚えも一切ありませんでした。しかし、警察から「検察官へ事件を送致する」と伝えられたことで自力で対応することの限界を感じ、当事務所へご相談にお越しになりました。
弁護士による初期対応と解決までのプロセス
男性の記憶を確認したところ、該当エリアの別店舗を複数利用した経験から店舗自体の記憶は曖昧であったものの、「嫌がる女性に性行為を強制した事実だけは絶対にない」と明確に記憶されていました。一方で、規約違反と知りつつ体に触れてしまった経験があったことが分かりました。
弁護士は男性の弁護人として選任を受け、警察・検察への対応および被害者側とのやり取りを一元化しました。まず警察を介して被害者側の窓口を確認したところ、被害女性は弁護士を立てず直接対応を希望するものの対面や電話を恐れたため、メールを通じて事実関係の確認を進めることとなりました。
被害者側の主張する「暴力的・強制的な性行為があった」という内容は男性の記憶と明確に食い違っており、男性は容疑を一貫して否認しました。また、提示された診断書等の怪我の裏付けも軽微かつ発生原因が曖昧であり、男性の行為に直接起因するものかは確認できませんでした。
それでも男性は「禁止されている接触を行い、結果として擦り傷等を負わせてしまった可能性」を考慮し、自身の認識する限度の事実を前提とした少額の解決金を提示して穏便な示談解決を打診しました。しかし、被害女性は不同意性交等致傷罪の成立に強くこだわり、当初は示談を拒絶したため、事件は検察庁へ送致されました。
検察官送致後も取調べが継続し、検察官から「重大事件であるため早期に示談すべき」との働きかけもありましたが、男性と弁護士はスタンスを崩さず、認識と異なる犯罪事実を認めての示談には応じない姿勢を貫きました。
検察官との協議を重ねる中で、男性の容疑を直接裏付ける客観的証拠がほとんど存在しない実態が明らかになっていきました。当方の方針として「示談が不成立であれば交渉の経緯を報告書にして提出し不起訴を求める」準備を整えたところ、最終的に被害女性側が折れ、当方の提示していた条件での示談に応じる回答がありました。
無事に示談書を交わして解決金を支払ったうえで検察官へ報告を行った結果、正式に不起訴処分が決定し、裁判を回避して終件となりました。
解決の成果
・刑事処分:検察官送致(書類送検)されたものの「不起訴処分」を獲得(前科なし)
・相手方との示談:当方が主張する認識の範囲内で少額の解決金による示談成立
・社会的影響:身柄拘束(逮捕・勾留)を回避し、身柄開放状態のまま終結
弁護士からのアドバイス
性風俗店におけるいわゆる「本番トラブル」において、以前は警察が介入しても当事者間の話し合いを促すに留まるケースが多く見られました。しかし昨今は、本件のように被害申告を端緒として事件発生から数か月が経過していても自宅の捜索に踏み切るなど、警察・検察が捜査を行うというケースもあります。
このような記憶の齟齬が問題となる事件では、相手方や捜査機関の圧力に押され、身に覚えのない犯罪事実を認めてしまうことがあります。一度認めて作成された供述調書を後から覆すことは困難であり、重い刑罰につながるおそれがあります。
自身の記憶に基づき、認めるべき点と否認すべき点を明確に区分して一貫した主張を続けることが、結果として客観的証拠の乏しさを突き崩し、不起訴処分を引き出す決定打となります。
突然警察の捜査を受けたり、事実と異なる容疑をかけられてしまった場合は、取り調べで不用意な供述をする前に、速やかに弁護士へご相談いただき、適切な方針を立てることをお勧めいたします。


