翼システム事件(データベースの創作性)
プロシード国際特許商標事務所の鈴木康介です。
学校の授業などで、教員が公表された著作物をコピーして、生徒に配ることがあると思います。
原則として、著作物をコピー(複製)することは、著作権者の複製権侵害に該当する可能性がありますが、学校その他の教育機関における複製等(著作権法35条)として認められています。
以下に、認められるための要件を書きます。
学校その他の教育機関
これに該当するのは、
1。小学校、中学校、高校、大学、各種学校など
2。青年の家、公民館などの社会教育施設
3。防衛大学校、警察大学校など法律に特別の定めのあるもの
です。
逆に該当しないものとしては
1。学習塾
2。企業内の研修施設
3。任意団体、グループの学習会
です。
教育を担当する者及び授業を受ける者
「教育を担当する者」は、教育を現実に担当する者で教育者の資格は問われません。
また、担当する者と同一視される場合も許容されます。
このため、教員の指示によって、学生がコピーすることも認められます。
「授業を受ける者」は、生徒などいわゆる学習者です。
その授業の過程における使用に供することを目的とする場合
「その授業の過程における使用」とは、教育を担任する者が、その教育計画を実現するために生徒などに享受する一連の過程による使用と考えられています。
初等中等教育機関では、授業だけでなく、運動会などの学校行事や、必修のクラブ活動も含まれると考えられています。
しかし、任意の部活動や自主ゼミナールによる使用などは該当しないと考えられています。
例えば、吹奏楽部の練習用に、楽譜をコピーしたりするのは認められません。
必要と認められる限度
目的に照らして、不必要なところまでコピーしてはダメです。
また、コピーできる量も直接授業を受けるものの人数の和を限度である考えられています。
クラス分コピーする程度なら平気ということです。
公表された著作物を複製
コピーできるのは、公表された著作物のみです。
ただ、授業で使うものは大抵公表された著作物なので、実務では問題になることは少ないのではないでしょうか。
当該著作物の種類及び用途並びにその複製の部数及び態様に照らし著作権者の利益を不当に害することとなる場合
今までの要件を満たしたとしても、著作権者の利益を不当に害する場合には認められません。
著作物の種類とは、例えば、国語の授業で、長編小説の一部をコピーすることがあると思いますが、長編小説の全てをコピーと、著作者の利益を害するため認められません。
また、絵や写真を観賞用に配布するためにコピーするのも認められません。
著作物の用途は、例えば、ワークブックや、ドリルなど補助教材を一部購入して、生徒に配布するためにコピーすると、ワークブックなどの売り上げが下がってしまいます。このように、市場に著しい影響を与えるようなことは認められないということです。
著作物の部数は、全校生徒に配布するための複製は認められないと考えられています。
著作物の態様は、複製したものを製本したりするなど、長期保存に耐えられるような形で複製すると、元の著作物の売り上げに影響を与えかねないので、認められないということです。
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