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社歌はなぜ有効なのか【コンサルの視点20】

橋本貢

橋本貢

テーマ:コンサルの視点


「社歌」と聞くと、少し古いものを想像する方もいるかもしれません。

かつては多くの企業で歌われていたものの、最近では耳にする機会も少なくなりました。

そのため、私が「社歌集制作サービス」についてお話しすると、

「今の時代に社歌ですか?」

と驚かれることがあります。

そのたびに私は、

「実は、今の時代だからこそ意味があるのです」

とお答えしています。

社歌が有効な理由は、音楽だからです。

少し不思議に聞こえるかもしれませんが、人は文章よりも歌の方を覚えています。

学生時代に覚えた校歌。

子どもの頃に聞いたCMソング。

何十年も前の曲なのに、歌詞が自然と出てくることがあります。

一方で、企業理念を正確に暗唱できる人はどれくらいいるでしょうか。

もちろん理念は大切です。

しかし、理念は「理解するもの」であり、歌は「記憶するもの」です。

ここに大きな違いがあります。

企業が理念を作る理由は、社員の行動や判断の基準を共有するためです。

ところが、理念が社員の頭の中に入っていなければ、判断基準として機能しません。

そこで音楽の力が生きてきます。

言葉に旋律が加わることで、記憶に残りやすくなる。

そして繰り返し耳にすることで、自然と浸透していく。

これは理屈ではなく、人間の特性です。

さらに、音楽には感情を動かす力があります。

理念の文章を読んで感動する人は多くありません。

しかし、自分たちの歴史や想いが歌になり、メロディーに乗って流れてきたとき、

「この会社で働いていてよかった」

「自分たちはこういう会社だったんだ」

そんな感情が生まれることがあります。

私はこれまで、多くの経営者の話を伺ってきました。

その中で感じるのは、どの会社にも必ず物語があるということです。

創業の苦労。

乗り越えてきた危機。

お客様との出会い。

社員との絆。

しかし、その物語は意外と共有されていません。

経営者の頭の中にはあるのに、社員には伝わっていない。

それは非常にもったいないことです。

社歌を作る過程では、まずその物語を掘り起こします。

何を大切にしてきたのか。

どこへ向かいたいのか。

なぜこの仕事をしているのか。

そして、それを言葉にし、音楽という形にしていきます。

私は社歌制作を「音楽制作」だとは考えていません。

本質は、企業の価値を再発見し、共有するプロセスです。

歌は、そのための手段の一つに過ぎません。

前回のコラムで、私は「経営を言語化する技術」について書きました。

社歌は、その言語化をさらに一歩進めたものです。

言葉を、記憶に残る形にする。

理念を、口ずさめる形にする。

それが社歌の持つ力だと思っています。

次回は、音楽が組織に与える影響について、もう少し掘り下げてみたいと思います。

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橋本貢
専門家

橋本貢(経営コンサルタント)

しずおか経営サポート

表面的な課題ではなく、売上・組織・戦略の根本構造を見極め、本質的な打ち手を実行まで伴走支援します。経営者の意思決定に寄り添い、成果に直結する改善を行います。

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