経営は「整える仕事」である【コンサルの視点1】
福利厚生も整っている。
人間関係も悪くない。
大きな不満があるわけでもない。
それでも、人が辞めていく。
「うちはいい会社のはずなのに」
そう感じている経営者の声を、これまで何度も聞いてきました。
このとき起きているのは、
表面的な問題ではなく、「納得の不足」です。
人は、条件だけで働き続けるわけではありません。
どこに向かっているのか。
自分は何のためにここにいるのか。
その中で、どんな役割を担っているのか。
こうしたことに納得できているかどうかが、
大きく影響します。
条件が良くても、
この部分が曖昧なままだと、
少しずつ違和感が積み重なっていきます。
もう一つの要因は、「言葉の不足」です。
会社としての考えや方向性が、
きちんと言葉になっていない。
あるいは、言葉はあっても、
日常の中で使われていない。
その結果、社員はそれぞれの解釈で仕事を進めることになります。
大きなズレではなくても、
小さな違いが積み重なり、
やがて居心地の悪さにつながっていきます。
さらに、「成長の実感」が持てないこともあります。
同じ仕事を続けている中で、
何が変わっているのかが見えない。
自分が前に進んでいるのか分からない。
こうした状態が続くと、
環境そのものに問題がなくても、
別の場所を探したくなるのは自然な流れです。
では、どうすればいいのか。
特別な制度を導入する前に、
見直すべきことがあります。
それは、
・会社としてどこに向かっているのか
・その中で一人ひとりがどんな役割を持っているのか
・日々の仕事がどうつながっているのか
これを、言葉として共有することです。
そして、その言葉が
日常の中で使われている状態をつくること。
難しいことではありませんが、
丁寧に続ける必要があります。
人が辞める理由は、必ずしも「不満」ではありません。
むしろ、「分からないまま続けること」が
一番の負担になることもあります。
「いい会社」であることと、
「働き続けたい会社」であることは、
必ずしも同じではありません。
その間にあるものを、
一つひとつ整えていくことが、
結果として組織の安定につながっていきます。


