「共通言語」がない組織の末路【コンサルの視点14】

「何か良い方法はありませんか。」
経営相談の場で、この言葉を聞くことは少なくありません。
売上を伸ばしたい。
利益を増やしたい。
社員が育つ会社にしたい。
そのために、新しい商品、新しいサービス、新しい設備、新しいシステム、新しい広告手法……。
多くの経営者は、「何を足せば良くなるか」を考えます。
もちろん、新しい挑戦は必要です。
環境が変わる中で、変化を恐れていては会社は成長できません。
しかし、私が経営改善のお手伝いをする中で感じるのは、本当に会社が変わるきっかけは、「足すこと」よりも「やめること」のほうが多いということです。
利益が残らない会社では、利益の少ない仕事を断る決断が必要になることがあります。
忙しいのに成果が出ない会社では、長年続けてきた業務を思い切って見直す必要があるかもしれません。
社長が毎日忙しく働いている会社ほど、社長しかできない仕事と、社員に任せられる仕事の整理が必要になります。
経営者は責任感が強い方ほど、「やめる」という決断が苦手です。
これまで積み重ねてきたこと。
長年のお客様との付き合い。
昔から続けてきた仕事。
どれも大切だからこそ、簡単には手放せません。
しかし、会社の時間も、人も、お金も、すべて有限です。
新しいことを始めるには、何かを手放す覚悟も必要になります。
私は、経営改善とは「会社を大きくすること」だけではないと思っています。
会社が本来持っている力を発揮できる状態をつくることです。
そのためには、余分なものを削ぎ落とし、本当に大切なことへ経営資源を集中させることが欠かせません。
実際に支援先でも、「これを始めましょう」と提案するより、「これはもうやめてもいいのではありませんか」とお話しする場面のほうが多いかもしれません。
最初は不安そうだった経営者も、思い切って整理した後には、「こんなに経営が楽になるとは思わなかった」と話されることがあります。
引き算は、後ろ向きな経営ではありません。
限られた経営資源を、最も価値のあるところへ振り向けるための、積極的な経営判断です。
私は、会社を良くするためには、何を増やすかを考える前に、「何をやめるか」を考える時間が必要だと思っています。
経営とは、選択の連続です。
そして、選択とは、「何をするか」だけではなく、「何をしないか」を決めることでもあります。
だから私は、経営改善の第一歩は、足し算ではなく、引き算から始まると考えています。


