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フレームワークでは見えないもの【経営者のためのフレームワーク活用術10】

橋本貢

橋本貢

テーマ:経営者のためのフレームワーク活用術


このシリーズの第1回で、

私はこう書きました。

フレームワークは答えではない。

問いを立てるための道具である。

この考えは今も変わりません。

SWOT分析も。

3C分析も。

5フォース分析も。

BCGマトリックスも。

バリューチェーン分析も。

PEST分析も。

KPIも。

BSCも。

どれも優れたフレームワークです。

実際に私も経営支援の現場で活用しています。

しかし、

どれほど優れたフレームワークを使っても見えないものがあります。

そして、

経営を左右するのは、

むしろその「見えないもの」の方であることが少なくありません。

数字では測れないもの

経営相談を受けていると、

数字では説明できない会社に出会います。

同じ業界。

同じ規模。

同じような商品。

同じような立地。

にもかかわらず、

成長する会社と停滞する会社があります。

財務分析だけでは説明できません。

市場分析だけでも説明できません。

なぜ差が生まれるのでしょうか。

私はそこに、

見えない資産が存在すると考えています。

信頼です。

理念です。

文化です。

覚悟です。

関係性です。

これらは貸借対照表には載りません。

しかし、

確実に会社の未来を左右します。

理念は利益を生まないのか

経営理念について話すと、

時々こう言われます。

「理念だけでは飯は食えない」

確かにその通りです。

理念だけで売上は上がりません。

理念だけで利益も出ません。

しかし、

理念がなければ、

長期的な意思決定はぶれます。

新規事業を始めるとき。

採用をするとき。

取引先を選ぶとき。

価格を決めるとき。

撤退を決断するとき。

経営者は無数の判断を行います。

そのとき、

何を基準に決めるのでしょうか。

結局のところ、

最後に頼るのは価値観です。

理念とは、

経営者や会社の価値観を言語化したものなのです。

だから私は、

理念は利益を生まないのではなく、

利益を生み続けるための判断基準だと思っています。

文化は戦略を食べる

有名な言葉があります。

「Culture eats strategy for breakfast」

文化は戦略を朝食にしてしまう。

という意味です。

どれほど立派な戦略を立てても、

組織文化が伴わなければ実現できない。

ということです。

これは中小企業でも同じです。

例えば、

社員の挑戦を求める会社があるとします。

しかし、

失敗した人が責められる文化だったらどうでしょう。

誰も挑戦しなくなります。

改善提案を求める会社があるとします。

しかし、

意見を言うと否定される文化だったらどうでしょう。

誰も発言しなくなります。

つまり、

会社の文化は、

戦略以上に組織の行動を決めるのです。

信頼は最大の経営資源である

私は経営支援の現場で、

信頼こそ最大の経営資源だと感じています。

顧客との信頼。

社員との信頼。

取引先との信頼。

金融機関との信頼。

地域との信頼。

信頼がある会社は強い。

多少の失敗があっても支えられます。

困ったときに助けてもらえます。

新しい挑戦にも協力が得られます。

一方で、

信頼を失うのは一瞬です。

そして、

信頼は数値化しにくい。

だから経営会議では話題になりにくい。

しかし、

実際には会社の土台そのものです。

社長の覚悟は分析できない

これまで多くの経営者と接してきて、

強く感じることがあります。

最後に会社を動かすのは、

社長の覚悟です。

市場分析をしても。

競合分析をしても。

財務分析をしても。

最終的に決断するのは経営者です。

新しい挑戦をするのか。

撤退するのか。

投資するのか。

守るのか。

誰かが正解を教えてくれるわけではありません。

その不確実性の中で決断する。

これが経営です。

そして、

覚悟はフレームワークでは分析できません。

フレームワークの限界

私はフレームワークが好きです。

だからこのシリーズを書いています。

しかし、

フレームワークを過信してはいけないとも思っています。

なぜなら、

フレームワークは現実を単純化したものだからです。

現実の経営はもっと複雑です。

社員の感情があります。

顧客との歴史があります。

家族の事情があります。

地域との関係があります。

偶然の出会いがあります。

運もあります。

それらすべてを図表に落とし込むことはできません。

だから、

フレームワークは地図であって現実そのものではないのです。

見えないものを見る力

では、

フレームワークでは見えないものをどう扱えばよいのでしょうか。

私は、

経営者には

「見えないものを見る力」

が必要だと思っています。

数字だけを見るのではなく、

数字の背景を見る。

組織図を見るのではなく、

人間関係を見る。

理念を見るのではなく、

理念が現場でどう生きているかを見る。

利益を見るのではなく、

その利益がどのように生み出されているかを見る。

こうした視点が、

経営の本質につながっていきます。

フレームワークの先へ

このシリーズでは、

様々なフレームワークを取り上げてきました。

しかし本当にお伝えしたかったのは、

フレームワークそのものではありません。

フレームワークの先にある視点です。

フレームワークは便利です。

思考を整理できます。

議論もできます。

共通言語にもなります。

しかし、

それだけでは経営はできません。

最後に必要なのは、

人を見る力。

関係性を見る力。

未来を見る力。

そして、

決断する力です。

経営とは、

数字だけの世界ではありません。

人だけの世界でもありません。

理念だけの世界でもありません。

それらすべてが絡み合った、

極めて人間的な営みです。

だから私は、

フレームワークを学ぶことは大切だと思います。

しかし同時に、

フレームワークに表れないものにも目を向けてほしいと思います。

そこにこそ、

会社らしさがあり、

経営者らしさがあり、

本当の競争力があるからです。

そしてそれは、

どんなフレームワークよりも強い経営資源になり得るのです。

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橋本貢
専門家

橋本貢(経営コンサルタント)

しずおか経営サポート

表面的な課題ではなく、売上・組織・戦略の根本構造を見極め、本質的な打ち手を実行まで伴走支援します。経営者の意思決定に寄り添い、成果に直結する改善を行います。

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