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KPIが会社を壊すとき【経営者のためのフレームワーク活用術8】

橋本貢

橋本貢

テーマ:経営者のためのフレームワーク活用術


経営者は数字が好きです。

もちろん私も数字を重視します。

売上も見ます。

利益も見ます。

資金繰りも見ます。

経営を数字抜きで語ることはできません。

しかし、

数字は非常に危険なものでもあります。

なぜなら、

人は測定されるものを追いかけるからです。

そして時として、

本来の目的を忘れてしまうからです。

KGIとKPIとは何か

まず整理しておきましょう。

KGIとは、

Key Goal Indicator

重要目標達成指標です。

簡単に言えば、

最終的なゴールです。

例えば、

・売上1億円
・営業利益1,000万円
・会員数1万人
・顧客満足度90%

などです。

一方、

KPIとは、

Key Performance Indicator

重要業績評価指標です。

KGIへ到達するための途中経過を測る数字です。

例えば、

・問い合わせ件数
・商談数
・見積提出数
・契約率
・リピート率

などが該当します。

つまり、

KGIが目的地であり、

KPIはそこへ向かう途中の道標です。

本来は非常に合理的な考え方です。

しかし、

問題はここから始まります。

数字は目的になりやすい

ある営業組織で、

商談件数をKPIに設定したとします。

すると何が起きるでしょうか。

営業担当者は商談件数を増やそうとします。

当然です。

評価されるからです。

しかし、

本当に重要なのは商談件数でしょうか。

極端な話、

成約の可能性が低い相手とも商談すれば件数は増えます。

意味の薄い訪問も増やせます。

数字だけ見れば成果です。

しかし会社全体としてはどうでしょうか。

売上は伸びないかもしれません。

利益も増えないかもしれません。

つまり、

KPIを追いかけた結果、

本来の目的から離れてしまうことがあるのです。

数字は人の行動を変える

私は経営支援の現場で、

数字そのものよりも、

数字が人に与える影響を重視しています。

例えば、

問い合わせ件数を目標にすると、

問い合わせを増やそうとします。

来店数を目標にすると、

来店を増やそうとします。

SNSフォロワー数を目標にすると、

フォロワーを増やそうとします。

しかし、

問い合わせが増えても利益が増えるとは限りません。

来店が増えても売上が増えるとは限りません。

フォロワーが増えても顧客が増えるとは限りません。

数字は人を動かします。

だからこそ、

何を測るかが重要なのです。

数字で測れないものもある

さらに難しいのは、

本当に重要なものほど数字にしにくいことです。

例えば、

社員の信頼関係。

顧客との関係性。

企業文化。

理念の浸透。

学習する組織風土。

これらは極めて重要です。

しかし、

正確な数字にはなりません。

だから管理しにくい。

すると経営者は、

測りやすいものばかり見るようになります。

売上。

利益。

件数。

回数。

人数。

もちろん重要です。

しかし、

測れるものだけを管理していると、

測れない重要なものを失うことがあります。

教育が数字に負ける

中小企業でよく起きるのが、

教育の後回しです。

教育はすぐに成果が出ません。

数字にもなりにくい。

一方で、

売上は毎月見えます。

するとどうなるでしょうか。

今月の数字を優先する。

教育は来月でいい。

人材育成はそのうち。

マニュアル整備は後回し。

こうして短期成果ばかりを追いかける組織になります。

結果として、

数年後に人が育たない会社になります。

数字は改善している。

しかし組織は弱っている。

これは決して珍しいことではありません。

顧客満足度を追うと顧客満足度が下がる

一見矛盾して聞こえるかもしれません。

しかし実際に起きます。

顧客満足度を高めようとして、

何でも無料対応する。

何でも引き受ける。

何でも値引きする。

すると最初は喜ばれます。

しかし社員は疲弊します。

利益も減ります。

結果としてサービス品質が下がります。

長期的には顧客満足度も下がります。

つまり、

数字を直接追いかけると、

逆効果になることがあるのです。

経営とはバランスである

私は経営支援の現場で、

数字を見るなと言ったことはありません。

むしろ数字は重要です。

ただし、

数字だけを見てはいけないと思っています。

なぜなら、

経営とは数字ではなく人が行うものだからです。

顧客も人です。

社員も人です。

取引先も人です。

経営者自身も人です。

数字は結果です。

その背後には必ず人の行動があります。

だから、

数字を見るときは、

その数字を生み出している行動を見る必要があります。

KPIの本当の役割

KPIの本来の役割は、

管理ではありません。

学習です。

うまくいった。

なぜだろう。

うまくいかなかった。

なぜだろう。

その仮説検証を行うために数字があります。

つまり、

KPIは評価のためではなく、

改善のために使うべきなのです。

ところが多くの会社では、

評価の道具になっています。

すると人は守りに入ります。

失敗を隠します。

数字を作ろうとします。

本来の学習機能が失われます。

数字を追う会社と目的を追う会社

最後に、

私が経営支援の現場で感じることがあります。

伸びる会社は、

数字を追いかけていません。

目的を追いかけています。

顧客にどんな価値を届けるのか。

社員にどんな成長機会を提供するのか。

社会にどんな存在価値を示すのか。

その結果として数字が付いてきます。

一方で、

数字だけを追いかける会社は、

いつの間にか数字に支配されます。

数字は大切です。

しかし、

数字は目的ではありません。

目的へ向かうための計器です。

飛行機のパイロットが計器だけを見て飛ばないように、

経営者も数字だけを見て経営してはいけません。

計器の先にある目的地を見ること。

それが経営者に求められる視点なのだと思います。

次回は、

バランスト・スコアカード(BSC)

を取り上げます。

財務だけではなく、

顧客

業務プロセス

学習と成長

という視点から経営を捉えるフレームワークです。

そして実は、

今回の「数字の限界」を補うために生まれた考え方でもあります。

次回は、

なぜ財務指標だけでは会社を測れないのか

について考えてみたいと思います。

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橋本貢
専門家

橋本貢(経営コンサルタント)

しずおか経営サポート

表面的な課題ではなく、売上・組織・戦略の根本構造を見極め、本質的な打ち手を実行まで伴走支援します。経営者の意思決定に寄り添い、成果に直結する改善を行います。

橋本貢プロは静岡新聞社が厳正なる審査をした登録専門家です

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