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バリューチェーン分析で利益の漏れを見つける【経営者のためのフレームワーク活用術6】

橋本貢

橋本貢

テーマ:経営者のためのフレームワーク活用術


売上は増えている。

忙しくもなっている。

社員も頑張っている。

しかし、

なぜか利益が残らない。

中小企業の経営相談で非常によく聞く悩みです。

決算書を見ると赤字ではない。

むしろ売上は伸びている。

それなのに資金繰りは楽にならない。

社長の疲労感も増している。

このような状況のとき、

私は必ず

「どこで価値を生み出し、どこで失っているのか」

を確認します。

そこで役立つのがバリューチェーン分析です。

バリューチェーンとは何か

バリューチェーンを日本語にすると

「価値連鎖」

です。

少し難しい言葉ですが、

お客様に価値が届くまでの一連の流れ

と考えると分かりやすいでしょう。

例えば製造業なら、

仕入



製造



出荷



営業



販売



アフターサービス

という流れがあります。

サービス業であれば、

集客



問い合わせ



提案



契約



サービス提供



フォロー

という流れかもしれません。

どの業種であっても、

価値は突然生まれるわけではありません。

多くの工程を経て顧客に届けられます。

その一つひとつの工程が、

利益を生み出しているのか

それとも利益を失わせているのか

を考えるのがバリューチェーン分析です。

利益は売上だけで決まらない

多くの経営者は、

売上に注目します。

もちろん重要です。

しかし利益は、

売上だけでは決まりません。

例えば、

100万円の商品を販売したとしても、

受注までに膨大な営業工数がかかっている。

納品後のクレーム対応が頻発する。

担当者しか対応できない。

利益率の低い特注対応ばかり発生する。

こうした状況であれば、

売上が増えても利益は残りません。

つまり、

問題は売上ではなく、

価値創造プロセスのどこかに存在しているのです。

利益の漏れは現場にある

経営支援の現場でよく見かけるのが、

利益の漏れに気付いていないケースです。

例えば建設業。

見積作成に何時間もかかっている。

しかしそのコストを計算していない。

受注後の仕様変更に無償対応している。

工事完了後の追加対応も請求していない。

こうしたことが積み重なると、

利益は少しずつ失われていきます。

サービス業でも同じです。

問い合わせ対応。

日程調整。

資料作成。

事前相談。

アフターフォロー。

これらは価値提供の一部です。

しかし、

適切に設計されていなければ、

利益を食い潰す工程にもなります。

実際には、

大きな赤字原因が一つあるのではなく、

小さな利益漏れが何十箇所も存在することが多いのです。

価値を生んでいる工程はどこか

一方で、

利益を増やすためには、

価値を生んでいる工程も見なければなりません。

例えば同じ商品でも、

営業担当者によって成約率が違う。

同じサービスでも、

説明の仕方によって顧客満足度が違う。

同じ工事でも、

段取りによって利益率が違う。

つまり、

価値を生み出しているポイントが存在するのです。

ところが多くの企業は、

それを言語化できていません。

「何となくうまくいっている」

で済ませてしまう。

すると再現性が生まれません。

だからこそ、

どこで価値が生まれているのかを見つけることが重要なのです。

中小企業ほど属人化しやすい

バリューチェーン分析が中小企業で重要なのは、

属人化を発見できるからです。

「この人がいないと回らない」

という状態は珍しくありません。

営業も。

製造も。

事務も。

顧客対応も。

すべて特定の人に集中している。

すると何が起きるでしょうか。

忙しい人はさらに忙しくなります。

改善活動もできません。

教育もできません。

結果として組織が成長しなくなります。

これは利益の漏れであると同時に、

将来のリスクでもあります。

バリューチェーンを見ることで、

業務の偏りやボトルネックも見えてきます。

AI時代のバリューチェーン

近年、このフレームワークはさらに重要になっています。

理由はAIです。

生成AIの登場によって、

多くの業務が見直されています。

議事録作成。

資料作成。

調査業務。

文章作成。

データ整理。

従来は人が行っていた作業が、

短時間で実行できるようになりました。

ここで重要なのは、

AIを導入することではありません。

価値を生んでいる工程と、

そうでない工程を見極めることです。

顧客価値を生まない作業に大量の時間を使っているなら、

そこは改善の余地があります。

逆に、

顧客との対話や提案など、

価値を生む工程にはもっと時間を使うべきです。

AIは、

バリューチェーンを再設計するきっかけを与えているのです。

経営者が見るべきもの

私は経営支援の現場で、

売上を見ないわけではありません。

利益も見ます。

しかし、

その数字だけを見て判断することはありません。

なぜなら、

数字は結果だからです。

本当に見るべきなのは、

結果を生み出しているプロセスです。

どこで価値を生んでいるのか。

どこで利益を失っているのか。

どこがボトルネックになっているのか。

どこに改善余地があるのか。

そこが見えれば、

利益改善の方向性も見えてきます。

バリューチェーン分析の本当の価値

バリューチェーン分析は、

工程を並べるためのフレームワークではありません。

業務フローを作るためのフレームワークでもありません。

本当の価値は、

会社の中で起きている価値創造を可視化することにあります。

そして、

利益の漏れを発見することにあります。

経営者は売上を追いかけがちです。

しかし、

売上を増やすより先に、

今ある利益漏れを止める方が効果的なことも少なくありません。

穴の空いたバケツに水を注ぎ続けるより、

まず穴を塞ぐ方が早いのです。

次回は、

PEST分析を取り上げます。

政治(Politics)

経済(Economy)

社会(Society)

技術(Technology)

という4つの視点から外部環境を見るフレームワークですが、

実は多くの経営者が誤解しています。

PEST分析は未来予測の道具ではありません。

むしろ、

未来に備えるための「視点の整理術」なのです。

次回はその本質について考えていきます。

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橋本貢
専門家

橋本貢(経営コンサルタント)

しずおか経営サポート

表面的な課題ではなく、売上・組織・戦略の根本構造を見極め、本質的な打ち手を実行まで伴走支援します。経営者の意思決定に寄り添い、成果に直結する改善を行います。

橋本貢プロは静岡新聞社が厳正なる審査をした登録専門家です

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