経営は「整える仕事」である【コンサルの視点1】

経営コンサルタントの仕事というと、
分析をする。
計画を作る。
アドバイスをする。
そんなイメージを持たれることが少なくありません。
もちろん、それらも大切な仕事です。
しかし、私が支援を始める際に最も時間をかけるのは、「ヒアリング」です。
それも、単に情報を集めるためではありません。
実は、経営者ヒアリングにはもっと重要な意味があります。
それは、
「経営者自身の考えを整理すること」
です。
多くの経営者は、毎日膨大な判断をしています。
売上のこと。
人材のこと。
資金繰りのこと。
将来のこと。
その中で、
「何となく気になっている」
「うまく言葉にできない」
という感覚を抱えていることも少なくありません。
ところが、経営者という立場上、それをじっくり話す機会は意外と少ないのです。
社員には話しにくい。
家族に話しても伝わりにくい。
取引先には相談できない。
結果として、多くのことを頭の中だけで処理しようとします。
すると、考えが整理されないまま時間が過ぎていきます。
私は、ヒアリングとは「聞く作業」ではなく、
「言葉にする作業」
だと思っています。
質問を重ねていくと、
経営者自身も気づいていなかった考えが見えてくることがあります。
本当は何を大切にしているのか。
なぜその判断をしようとしているのか。
どこに違和感を感じているのか。
そうしたものが、少しずつ輪郭を持ち始めます。
時には、
「自分はこんなことを考えていたのか」
と経営者ご本人が驚かれることもあります。
そして興味深いのは、多くの場合、答えはすでに経営者の中にあるということです。
外部の専門家が正解を持っているわけではありません。
むしろ、経営者自身が持っている答えを見つけやすくすること。
その方が近いかもしれません。
だから私は、支援の初期段階で結論を急ぎません。
まずは話を聞く。
そして、一緒に整理する。
この時間を大切にしています。
経営課題は、複雑に見えても、根本は意外とシンプルなことがあります。
ただ、そのシンプルな本質にたどり着くまでに、たくさんの言葉が必要なのです。
良いヒアリングとは、情報収集ではありません。
経営者が、自分自身の考えを再発見する時間です。
そして、その時間こそが、経営を再編集する最初の一歩になるのだと思います。


