経営は「整える仕事」である【コンサルの視点1】

経営計画を作るときや、理念を見直すとき、
「ビジョンを作りましょう」
という言葉を耳にすることがあります。
もちろん間違いではありません。
しかし、私は少し違う考え方をしています。
ビジョンは、「作るもの」というより、
「見つけるもの」
ではないかと思うのです。
なぜなら、本当に力を持つビジョンは、経営者の中にすでに存在していることが多いからです。
例えば、
なぜこの事業を続けているのか。
なぜその商品やサービスにこだわるのか。
どんな未来になったらうれしいのか。
こうした問いに向き合っていくと、その人らしい答えが少しずつ見えてきます。
ところが、ビジョンを「作ろう」とすると、話が変わります。
立派な言葉にしようとする。
他社に負けない表現にしようとする。
流行のキーワードを入れようとする。
すると、確かに整った文章はできます。
しかし、それが本当に自分たちの言葉なのかは別問題です。
経営者自身が語れないビジョンは、社員にも伝わりません。
社員が自分の言葉として話せないビジョンは、組織にも根づきません。
だから私は、ビジョンづくりの場で、
「何を目指しますか?」
よりも、
「なぜ今の仕事をしているのですか?」
という質問をすることがあります。
未来を考えるために、過去を振り返るのです。
創業時の思い。
苦しかった時期。
乗り越えてきた経験。
お客様から言われてうれしかった言葉。
そうした話を聞いていると、その会社が本当に大切にしているものが見えてきます。
そして、その延長線上に未来があります。
ビジョンとは、突然どこかから降ってくるものではありません。
これまで歩んできた道の先に見えてくるものです。
だから、作り込むことよりも、
掘り起こすこと。
飾ることよりも、
言葉にすること。
そちらの方が大切なのだと思います。
私自身、多くの経営者の話を伺ってきましたが、
本当に魅力的なビジョンは、会議室でひねり出されたものではなく、
何気ない会話の中から見つかることが少なくありません。
「実は、こういう会社にしたいんだよね」
そんな一言の中に、その人らしさが詰まっているのです。
ビジョンは、未来の設計図です。
しかし同時に、その会社らしさを映す鏡でもあります。
だからこそ、無理に作ろうとする前に、
自分たちの中に何があるのかを見つめてみる。
そこから始める方が、遠回りのようでいて、実は一番の近道なのかもしれません。


