経営者の言葉が届かない理由【コンサルの視点5】

これまでのコラムでは、
・理念が機能しない理由
・言葉が届かない理由
・組織がバラバラになる理由
について書いてきました。
どれも別々の問題のように見えますが、実は根っこは同じです。
それは、
「今の会社の姿と、本来目指したい姿がずれている」
ということです。
経営を続けていると、会社は少しずつ変化します。
社員が増える。
事業が広がる。
取引先が変わる。
あるいは、
事業承継やM&Aといった大きな転機を迎えることもあります。
その中で、創業当時には自然に共有されていたものが、少しずつ伝わりにくくなっていきます。
何を大切にしていたのか。
なぜその仕事をしているのか。
どんな未来を目指しているのか。
もちろん、それらが消えてしまうわけではありません。
ただ、日々の業務に追われる中で、少しずつ見えにくくなっていくのです。
私は、この状態を「壊れている」とは考えていません。
むしろ、
「編集が追いついていない状態」
だと考えています。
本も、映画も、音楽も、編集によって伝わり方が大きく変わります。
同じ素材でも、編集次第で全く違う作品になります。
会社も同じです。
理念がないわけではない。
人材がいないわけでもない。
技術がないわけでもない。
すでに多くのものを持っている。
ただ、それらが今の会社の姿に合わせて整理されていない。
だから伝わらない。
だから噛み合わない。
だから苦しくなる。
そんなことが起きるのです。
経営を再編集するとは、
新しい何かを作ることではありません。
今あるものを見つめ直し、
・何を残すのか
・何を変えるのか
・何を伝えるのか
を整理することです。
そして、それを社員や関係者と共有できる形にしていく。
私は、これこそが経営の重要な仕事の一つだと思っています。
実際、多くの経営課題は、新しい仕組みを導入しなくても改善します。
理念を整理する。
言葉を揃える。
判断基準を明確にする。
こうした再編集によって、組織の動きが変わることは少なくありません。
経営とは、常に変化との向き合いです。
だからこそ、ときどき立ち止まり、
「今の会社は、本当に自分たちが伝えたい姿になっているだろうか」
と問い直してみる。
その時間が、次の成長につながっていくのだと思います。
私は経営コンサルタントという立場ですが、最近は自分の仕事を、
「会社の再編集をお手伝いする仕事」
だと考えるようになりました。
次回は、この「再編集」を実際に進める際に、最初に何から手を付けるべきなのかについて書いてみたいと思います。


