印籠は薬入れ~徳川家康公御生誕480年
熊野牛王は牛黄から?
ナギの木と言えば、だいぶ前に熊野速玉大社に行ったときに大きな木があり、ご神木だったことから知りました。ナギの木は熊野権現の象徴で、熊野牛王とナギの葉をいただくことが、熊野詣を無事果たす大きな支えとなったそうです。熊野牛王というの厄除けの護符のことです。牛王(牛玉)と書いてゴオウ、お客様の中にも飲んでいただいている方が多い「牛黄(ゴオウ)」と関係があると言われています。牛黄というのは牛の胆石ですが、牛黄を印色として使ったから、牛王宝印と称したと言われています。牛黄は鎮痙、鎮静、解熱、強心、利胆などの作用があります。具体的には、疲れたり緊張すると脈が不安定になり、心臓がドキドキするような時や、病気の回復や予防に使われます。熊野牛王を家屋玄関に貼れば盗難除、病気には札中の烏(カラス)を切り抜いて浮かべた水をいただくと効ありと言われていたそうです。東大寺の牛玉札のように墨も牛黄を溶いていたものを使っていたのでしょうか。牛黄を混ぜた染料で捺印した奈良の薬師寺の牛玉札は水に溶けるので溶かして飲む方もいるそうです。調べていくうちに高野山の千枚通しという飲む護符を知りました。南無大師遍照金剛と書いてある護符が 1000 枚入っています。昔、弘法大師が難病者に対して加持祈祷(かじきとう)を行なった霊符を飲ませたところ、すぐさま病気が全快したことから、高野山では病気になれば霊符を飲ませるといった民間信仰が誕生しました。「なむだいしへんじょうこんごう」と 3 回唱えて1字ずつ清浄の水に浮かべていただくそうです。これには牛黄は関係なさそうです。信じるチカラが治すチカラになるのでしょうか。
ナギと鹿と頼朝
ナギにはナギラクトンが含まれるため、鹿はナギの木を食べません。そして、他の植物の生育を抑制する作用(アレロパシー)があるため、奈良の春日大社本殿より若宮神社へと向かう参道周辺にはナギ樹林が広がっています。春日大社で昔サカキと呼んだのはナギのことで、神事の時にナギの木を使うそうです。砥鹿神社がナギを使っていたのは神馬ではなく神鹿なのも関係しているのかもしれないと思いました。熊本大学薬学部薬草園の植物データベースによると、…(ナギの)根と樹皮は利水(体の水分を調える)作用があり、筋肉痛・関節痛に用いる。葉は骨折、外傷の出血に煎液を外用する。…そうです。
ナギの葉は裂けにくいことから縁が切れない縁起の良い木とされ、源頼朝と北条政子は、変らぬ愛の証としてナギの葉を持っていたと言われています。以前、その話を聞くとともにナギの葉っぱを持っておくといいよと言われ、お財布に忍ばせていました。むつごろう薬局の周りでナギの葉らしき葉を見るたびに、どこにナギの木があるのだろうと思っていました。が、5/18 ついにナギの木を見つけました!その木には実もついていました。その後静岡浅間神社にはたくさんのナギの木があり、雌の木も雄の木もあることが分かりました。安東にある熊野神社にもナギの木がありました。葉っぱをお守りにするといいことがありそうな気になれます。興味がある方は場所など聞いてくださいね。鳳来寺は、平治の乱(1159 年)のあと、源頼朝を 3 年かくまい、頼朝が本堂を再興しました。頼朝と家康のつながり、また機会があれば続きを書きますね。
写真は砥鹿神社のナギです。