シンプルな治療 ( 病ましてまで、知らしてくれる? ) 聖路加国際病院理事長の医師日野原重明先生
秋の七草、覚えている方はあまり多くないかもしれません。
萩(ハギ)、 桔梗(キキョウ)、 葛(クズ)、 藤袴(フジバカマ)、 女郎花(オミナエシ)、 尾花(オバナ)、撫子(ナデシコ)です。尾花はススキのことです。
きれいな花が咲く秋の七草ですが、桔梗は排膿散など、葛(葛根)は葛根湯などの漢方薬に使われ、他の植物も薬用植物です。ウチダ和漢薬の生薬の玉手箱「秋の七草と薬用植物」によると、ススキも効能があるのですが、人畜が虎や狼に傷つけられた時に使うので、日本では使用される機会もなかったと考えられるそうです。ススキは、伊勢神宮社殿の萱(カヤ)として用いられています。
藤袴を源実朝が歌に詠んでいます。「藤袴 きて脱ぎかけし 主(ぬし)や誰(たれ) 問えどこたへず 野辺の秋風」(金槐和歌集…きへんだったんですね)。乾燥させたフジバカマを粉にして衣服や書籍に入れておくと虫がつかなくなるので、香袋に入れてお守りの様に身に付けたりもしていたそうです。日本民間薬としては、根を煎じて月経不順に、また葉や茎の煎液を喉の渇きに利用してきました(生薬の玉手箱「蘭草」より)。
フジバカマは「旅する蝶」と言われるアサギマダラ(浅葱斑)が好む植物でもあります。アサギマダラは鬼滅の刃の胡蝶しのぶのモデルです。静岡県藤枝市にある玉露の里の庭園には、フジバカマがたくさん植えてあります。10月23日には、たくさんのアサギマダラが舞っていました。羽を開閉しながら蜜を吸っていて、羽を広げている姿を写真に撮るのが難しいと感じました。写真は、友人がフジバカマにとまる瞬間をねらって撮影成功したものです。
庭を管理している方が、卵と幼虫を見せてくださいました。鬼女蘭(キジョラン)という植物が鉢植えで置いてあり、その葉の裏に小さな卵と、小さな幼虫を見ることができました。円形に食べた後、その内側を食べていくそうです。写真は、ギャラリーをご覧くださいhttps://mbp-japan.com/shizuoka/mutsugoro/gallery/5002026/。卵を産んでもらおうと、誰かが隠すようにして置いていった鬼女蘭には卵がまだありませんでした。その鬼女蘭はまだ小さく葉が重なっているので、葉の裏側に卵を産みつけるのは大変なのではと思いました。
撫子 https://mbp-japan.com/shizuoka/mutsugoro/gallery/2200249/