守宮(宮を守る)
むつごろう薬局の店内では、エバーフレッシュという観葉植物を育てています。エバーフレッシュという名前を聞いた時、どうみてもねむの木に見えるのにと思いました。同じマメ科の植物ですが、属が違って、エバーフレッシュは常緑樹、ねむの木は落葉樹だそうです。エバーフレッシュの別名はアカサヤネムノキといい、うすい黄緑色の花が咲いたあと赤いさやをつけるそうですが、残念ながらまだ1度も赤いさやを見たことがありません。ねむの木と同様、夜になると眠るように葉が閉じていきます。夜に葉を閉じるのは、葉から水分の蒸発を防ぐためのようです。水分不足だと葉が閉じたままになります。照明のためかお店が閉まる時には閉じていませんが、長期休暇で閉まったままだったシャッターを開けた朝は葉が閉じたままになっています。急いで水をあげて、エバーフレッシュを眠りから起こします。おじぎ草と葉の形がソックリですよね。小学生のころ、家の庭にねむの木が生えていました。おじぎ草と似ているので、小学校の自由研究で「ねむの木とおじぎ草の違い」という研究をしましたが、どのように研究したかは全然覚えていないです。
おじぎ草とノーベル賞
2017年のノーベル生理学・医学賞は「概日リズムを制御する分子メカニズムの発見」でした。概日リズムは一般的に体内時計とも言います。研究の一番最初のきっかけは、科学者がおじぎ草を光の当たらない場所に置いたままにしても、昼夜のリズムに合わせて周期的に葉を開閉させていることに気づき、体内時計の存在を考えたことからでした。ホール博士、ロスバシュ博士、ヤング博士の研究により、体内時計の分子メカニズムが明らかになりました。ショウジョウバエで体内時計を制御する遺伝子を特定しました。period遺伝子からmRNAが作られ(転写)、mRNAからPERタンパク質が作られ(翻訳)されます。細胞質にPERたんぱく質が多くなると、PERたんぱく質は細胞核に入ることで、自身がperiod遺伝子からmRNAに転写されることを阻害し、PERたんぱく質が作られなくなり細胞質のPERたんぱくが減少します。ヤング博士はPERたんぱく質は、timless遺伝子から作られたTIMたんぱく質と結合することで細胞核に入ることができることを発見しました。複合体になることで細胞核に入って、period遺伝子とtimless遺伝子の活動を抑えていたのです。朝になると複合体は分解が始まり、それぞれの遺伝子はふたたび活性化して、それぞれのたんぱく質が作られます。ヤング博士は両親から、おじぎ草のことも書かれたダーウィンの本を贈られていたそうです。
朝日を浴びてから朝食を
哺乳類の体内時計は、脳内の視交叉上核にあることが1980年初頭に発見され、その後時計遺伝子が発見されました。時計遺伝子の解析が進み、全身のどこの細胞も時計遺伝子を持っていることがわかりました。脳にある体内時計は主時計で、朝、光を眼で感じるとリセットできます。主時計が約1日のリズムに調節しているのは、睡眠・覚醒リズム、自律神経系、内分泌ホルモン系、免疫・代謝系などです。全身の細胞にある体内時計は末梢時計と言われ、朝食の炭水化物とたんぱく質でリセットされます。まるでエバーフレッシュのシャッターと水やりみたいですよね。さらに、朝食にトリプトファンとビタミンB6が含まれている食べ物を食べると、体内時計のリズムを整えると言われているメラトニンが夜作られ、眠りもよくなります。具体的な食べ物については漢方相談の時にお伝えしますね。
今回は「印堂」というツボを紹介いたします。「印堂」は眉間にあります。メラトニンが作られる松果体の高さにあるツボです。ストレスなどがあると、眉間にしわをよせてしまいますよね。下がったメガネの真ん中を中指で上げる方がいますが、あのような感じで、まず5回円を描くようにしてください。そして眉間の5mm下から皮膚を5mmくらい上にずらし10秒くらいそのままでいてください。肩の力が抜けてきませんか。眩しい時にも眉間にしわがよります。夜は部屋の照明を明るすぎないようにしてみてください。
写真はストックホルム市庁舎の黄金の間です。ノーベル賞の晩餐会が青の間で開かれ、その後舞踏会が黄金の間で開かれます。むつごろう薬局に入る前の6月に撮影しました。
ギャラリー
エバーフレッシュ アカサヤネムノキ
https://mbp-japan.com/shizuoka/mutsugoro/gallery/5002576/
エバーフレッシュの実が色づく様子ご覧いただけます