生薬の話 麻黄 〜 風邪に使う漢方薬 葛根湯
高校時代に、「あさきゆめみし」という大和和紀(やまとわき)さんの源氏物語を描いたマンガを読んでいました。昨年の高校生の進路講演会の時に古典の勉強にとても役に立ったので紹介しました。その時に大和和紀さんは昨年画業55周年ということを知りました。
友達に借りて読んでいたため手元にマンガはないのですが、何年か前に「あさきゆめみしの世界 源氏物語ナビBOOK」という本を古本屋さんで見つけたので購入しました。登場人物や54帖がまとめられていたこの本を、手に入れることができて幸せです。その本の6帖に「末摘花(すえつむはな)」という姫君が出てきます。この末摘花というのは紅花(ベニバナ)のことです。鼻の先端が赤い姫君だったので、赤い鼻→赤い花→紅花→末摘花と光源氏が命名しました。
ベニバナはジブリの映画「おもひでぽろぽろ」にも出てきますね。
私たちが作る漢方薬でも紅花(コウカ)が入っているものがあります。酒査鼻(あかはな)といえば、本方というほど有名な漢方薬ですが鼻の周りの皮膚が赤くなる方に二人ほどお出しして良い結果が出ています。
今回は、『紅花』について紹介します。
ベニバナと聞くと、染料や油に使われるイメージがありますが、漢方薬としても用いる事があります。『コウカ』と呼び名が変ります。
紅花は、管状花をそのまま又は黄色色素の大部分を除き、圧搾して板状にしたものを用います。赤色~赤褐色の花冠、黄色の花柱及び雄しべから成り、多数の管状花の集合です。特異臭があり、やや苦味があります。リノール油を搾るサフラワーは、西洋紅花を品種改良したもので薬用にはなりません。
なので、「紅花」は国産のベニバナを用います。
紅花は、血行をよくする働きがあります。漢方では腹痛、婦人病に用います。紅花を用いる代表的な漢方薬として、折衝飲(せっしょういん)が挙げられます。この漢方薬は、主に婦人の妊娠、出産、生理時の異常不調に使われます。また、産後の悪露、子宮出血・炎症、月経不順、月経困難、月経痛、腹痛、腰痛などに用います。
折衝飲の中で紅花は、血をめぐらし、腫れを取り、痛みを止める働きがあります。また色素成分と脂肪油などを含み、血管拡張作用もあります。折衝飲の中には紅花以外にも血行を良くする生薬がいくつか含まれています。
特に、当帰・芍薬・川芎の組み合わせは体を温めて冷えを改善します。また、牡丹皮・桃仁の組み合わせは、血中の伏熱を除く働きがあります。