コラム
里芋にそっくりな薬草〜生薬の話「沢瀉」
2022年2月26日 公開 / 2023年5月23日更新
少し前に半夏(はんげ)という薬草を紹介しました。半夏の見た目はあまりサトイモと似ていないのですが、サトイモ科に属します。
代わって、この写真の薬草は、サトイモにそっくだと思いませんか?
名は「沢瀉(たくしゃ)」。サトイモにそっくりなのに何故かオモダカ科。どうやら本家が同じオモダカ目と言う血筋になるそうです。遠い親戚に自分と似ている人がいるようなものですね。
沢瀉は家紋にもありますね。そして歌舞伎が好きな方は沢瀉屋・澤瀉屋(おもだかや)が浮かぶかもしれません。市川海老蔵さんが成田屋というのは知っている方が多いと思いますが、市川猿之助さんが沢瀉屋です。初代市川猿之助の生家が、副業として薬草の沢瀉を扱う薬屋を商っていたといわれることに由来するそうです。
『沢瀉(タクシャ)』はサジオモダカという植物の根茎で、アジア以外にもヨーロッパ、アフリカなど世界各地で生産される生薬です。茎から伸びた葉は細く、先端部分は丸く広がり、まさにスプーン(さじ)の様な形状をしています。夏には一見かすみ草のような白い小花を咲かせ、土の中では里芋の様な、茎がどっしりと植物をささえています。名前の由来は、水の流れを良くする働き(潤沢)からきています。
めまいや冷え、胃腸炎などを抱えている患者様の多くは、体の中に余分な水を溜め込みやすい体質のため、沢瀉の含まれた漢方薬で水が排出されると体調がよくなります。
又、最近の研究ではコレステロール・血糖血圧を下げる働きが判ってきました。脂肪肝のねずみにタクシャを与えたところ、脂肪の蓄積が改善されたという報告もあります。この生薬は、テレビ番組で紹介されて有名になった五苓散や婦人科でよく使われる当帰芍薬散などに配合されています。
生薬の話「半夏」https://mbp-japan.com/shizuoka/mutsugoro/column/5104665/
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