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令冷鈴

谷津吉美

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テーマ:秘伝のツボ (東洋の知恵)



令和になって初めての新聞ですので、「令」と「和」がつくツボを紹介します。
「令」は「冷」になりますが「清冷淵(せいれいえん)」、手の少陽三焦経のツボです。「和」は「和髎(わりょう)」同じく手の少陽三焦経のツボです。三焦は特定の器官を指すのではなく、横隔膜から上部の機能を上焦、横隔膜から臍までの間の機能を中焦、臍から下部の機能を下焦と言います。それぞれ、心・肺、脾・胃、腎・小腸・大腸・膀胱と関係が深く、三焦は気血津液を全身にめぐらせます。
 「清冷淵」は肘頭の上2寸(指3本上)にあります。皮下組織や筋が薄く、冷たくなりやすい部位です。作用は疏風散寒、通絡止痛です。主治は、頭痛、悪寒戦慄、肩・腕の挙上困難です。寒気がする時は、自然にこのあたりをさする方が多いのではないでしょうか。
 「和髎」の和はおだやかなこと、髎はくぼみのことで、耳介(耳の上の部分)の付け根と鬢髪(もみあげ)の間で、浅側頭動脈の後縁にあります。和は正常の意味もあり、このツボに鍼を刺すと耳・鼻・眼・口の機能回復に役立つそうです。作用は袪風、通絡です。主治は、耳鳴、頭重・頭痛、口のゆがみなどです。口のゆがみには「地倉(ちそう)」「頬車(きょうしゃ)」と組み合わせて使うようです。鈴(ベル)の中にも令が入っているので、ベル麻痺が連想されました。特発性片側性末梢性顔面神経麻痺をベル麻痺と呼びます。電車などで、風に当たったあと、顔面麻痺になる場合があります。東洋医学の病因は、外因(外界の環境からなる病因)・内因(感情が基になる病因)・不内外因の3つに分類されています。風は外因の1つであり、風に当たって病気になった場合、風邪(ふうじゃ)におかされたということです。「和髎」の作用が袪風なので、風に当たったあとの顔面麻痺には特に効果がありそうです。

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谷津吉美
専門家

谷津吉美(薬剤師)

有限会社むつごろう薬局

漢方医学を専門に23年。不妊症をはじめ各種女性の悩み・アレルギー・皮膚病・自律神経失調症などの症状に、深い知識で丁寧に対応。また静岡県立高校の進路指導講演会や不妊専門雑誌などで漢方薬を広めています。

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