検索すると同じ機種で同症状の記事がたくさん!パソコン・タブレット「機種依存性の故障」とは

古賀竜一

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テーマ:機器と端末の管理と保守

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パソコン、タブレットなどIT機器が故障する原因で多いのは「消耗」や「劣化」、その実態とは?
https://mbp-japan.com/saga/pc-pro/column/4008386

何にもしていないのに突然壊れた!?パソコン・タブレットなどIT機器が故障する原因「自然故障」
https://mbp-japan.com/saga/pc-pro/column/4008403


「機種依存性の故障」とはどういうことか

●今回は、機種依存性の故障について解説してみたいと思います。

●これまで2回にわたりサポートの現場で遭遇する故障の原因、「消耗・劣化」と「自然故障」を取り上げてみましたが、それらはどちらかといえば避けようがないことや不運が重なった末の結果という性質のものでした。機械である以上、そのような原因で寿命よりも早く壊れる個体が存在することもありますが、その場合壊れる箇所はあくまでもランダムで、予測が不可能であることが特徴です。

●しかし今回、最後に取り上げる「機種依存性の故障」とは、ある一定の機種や機種の中の特定ロット、あるいは特定の部分で起きる特有の症状や故障のことを言います。不具合や故障の症状、起きる箇所がほぼ同一で、発症時期なども近似しているのが特徴です。

●この「機種依存性」の故障というのはほとんどがユーザーの責任ではないことが多く、知らないでいることで不利益を被ることもありますので、是非知っておいて欲しい故障原因のひとつです。

●商品のユーザーレビューなどで同一機種のユーザーが、同じような症状に悩まされているという話題で発覚することが多いようです。その原因としては、特に不良率の大きいロットや部品が製造時に使用されているために起きています。

機種依存の故障の実際の例

●実際の例で過去有名なものは一時期大問題になった不良電解コンデンサ問題です。あるメーカーの電解コンデンサの一部ロットに製造工程で不純物が混入し、数年で破裂や液漏れが発生するというもの。その原因で回路が機能を失ってメインボードが動作しなくなるという症状が頻発しました。

●この問題が深刻だったのは、マザーボードメーカーの多くがそのコンデンサメーカーから部品供給を受けていたため、パソコンのメーカーを問わず発生し、世界中に広範囲で被害が及んだことでした。


※液漏れした電解コンデンサ。 トラブルは世界的な広がりとなった

●また、以前にはIntel社の6シリーズチップセットに不具合が見つかって、出荷早々に世界中で全数回収ということも起きています。

●しかし、これらはメーカーとしてリコールを宣言して回収や保証対応などをきちんと行い解決が図られています。

●ところが問題なのは、大きな問題にはならない狭い範囲で起きるリコールにならない機種依存性のトラブルです。

機種依存性のトラブルの多くは保証対象にならない

●ひとつの事例として、こういうことが実際にあります。
ある国内メーカー(メンインブラックがやってくるのは困るので実名は伏せます)のノートPCの特定型式に数年経過した時点で不具合を起こす不良チップが使われていたため、起動しないなどの症状を起こすトラブルが相次いでいることが確認されました。

●その不具合が保証期間を過ぎたころに発症するために、メーカーでは有償修理対応としているのですがその修理金額があまりにも高額なため、ユーザーやネットの有志がたまりかねて調べたところ、明らかに同じ箇所の部品品質が問題で起きる不具合(機種依存性)というのが判明したのです。

●そうなると責任はメーカーにあるのではないか、そうであれば無償修理して欲しいという主張は善良なユーザーならば当然です。それでもメーカーとしてはあくまで自然故障であるとして一貫として有償修理対応を譲らなかったのです。

●なぜメーカーは保証しないのかというと、まず、保証期間を過ぎていること、リコールに相当する要件に該当してないこと、製品の出来不出来でその都度保証していたら採算が取れなくなるなどの理由で、ユーザーにとっては厳しい対応にならざるを得ないからです。

●確かにメーカーもわざとやったわけではなく、人間がやっている以上失敗もあるわけです。対応はメーカーによって違うとは思いますが、神対応になるのはわずかな例だけでしょう。

購入前の情報収集はユーザーができる最大のリスク回避策

●しかし、そうしたメーカーの対応にユーザーの不満が爆発することもあります。そのメーカー製品は今後絶対に買わない!などの厳しい意見が寄せられているようです。でも、この問題がそれだけで回避できるかというとそうではありません。そのような回避策はメーカーの現実というものを理解していない愚策だからです。

●メーカーを変えたからといって大丈夫とは限りません。なぜなら同じような機種依存性の問題を抱えている製品はその別のメーカーにも間違いなく存在しているからです。


※基板上のチップに特定の不良品が 使われていることがある。(写真は資料)

●そのような機種依存性のある機器はかなりの数が存在しているものと見られますが、そういうものが存在することを知らなかった場合、購入してしまうと早期に故障するなどして不利益を被ってしまいます。

●特にオークションや格安のネット通販、新聞広告の品など、どんなものが混ざっているかわかりません。私のこれまでの経験では中古パソコンで機種依存性があるようなものを調べて出荷しないようにするといった行儀の良い業者はほんのわずかです。

●これは自動車でもメーカー、車種問わず数多く同様のことで問題になっているのではないでしょうか。自動車なら商品単価が高額な分ダメージも大きくなりますので警戒して良く良く調べて購入する方も多いですが、価格は安くてもその点はパソコンも同様にしっかり調べることが必要です。

●メーカー名や価格だけを頼りに購入する前に詳しい人(できれば専門家)に聞くことがリスク回避に役立ちます。避けられるリスクはできるだけ避けたほうが良いのは言うまでもありません。

●これからは、購入前に必ず機種依存の故障やトラブルがおきていない機械であるかどうかを確かめることが賢い消費者となります。

●安いのを見つけた!などという値段だけが判断材料の買い物は、賢い消費者でもなんでもなく、このご時勢「飛んで火に入る夏の虫」となりかねません。

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古賀竜一(システムエンジニア)

九州インターワークス

ITのユーザーサポートの現場で実際に問題を解決しながら、ITの最新の状況とその問題点を追及している専門家です。多様で複雑になってきたITのことをユーザーにわかりやすく丁寧にお伝えします。

古賀竜一プロは九州朝日放送が厳正なる審査をした登録専門家です

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