パソコン、タブレットなどIT機器が故障する原因で多いのは「消耗」や「劣化」、その実態とは?

古賀竜一

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テーマ:機器と端末の管理と保守

IT機器故障の3つの主な故障原因

●IT機器類の故障はその原因によって大きくいくつかに分けることができます。その中でも特に知っておきたい原因は3つです。

一つ目は「消耗・劣化」
二つ目は「自然故障」
三つ目が「機種依存性の故障」です。

●今回は3回にわたり故障の本当の原因が何かその実態と、そういう場合どう対処すればよいかを解説したいと思います。

まず、今回は「消耗・劣化」です。


機器類は使うほど消耗・摩耗する

●パソコン、タブレットはコンピューターの仲間ですが機械であることは間違いありません。機械は使うほど消耗していきます。一番消耗しやすいのが駆動部です。絶えず動いている部分や動かしている部位は摩擦などによって磨り減ったり変形・破損したりします。磨耗が進んでも当然正常に動作しなくなりますので故障の直接原因になります。

●ノートパソコンなら液晶画面を支えるヒンジ部分とか、キーボード、スイッチボタンなどは使うほどに物理的な消耗、摩耗が起きます。

●物理的駆動部分以外にも消耗部分があります。フラッシュメモリなども実は内部素子に使えなくなる部分が発生しますので消耗します。バッテリーも充電回数によって確実に消耗していきます。パソコン、タブレットでは主に以下のものが該当します。

「バッテリー」:充電回数に制限がある(2~3年で寿命を迎える)
「HDD」:駆動部分もある機械なので消耗する(不良クラスタなどの発生)
「メモリ」:めったに壊れないが、まれに故障する
「SSD,フラッシュメモリ」:物性上、記憶域の劣化で消耗する
「光学ドライブ」機械なので駆動部分などが消耗、レーザーピックアップも消耗する
「液晶パネル」:ヒンジ部分が酷使や油分切れで消耗する
「スイッチ類」:扱い方や使用回数によっては摩耗や損壊する
「(USB等)コネクタ類」:頻繁な抜き差しで接点が摩耗する、コネクタ部分が変形する
「キーボード」「マウス」:今時は消耗品扱いです
「電源ユニット」:冷却ファンの軸受けが摩耗する、コンデンサなどの劣化
「メイン基盤」:設定保持用のバッテリーが消耗する、構成パーツが劣化する
「ファン類」:軸受けの摩耗で異音が発生したり回転が止まったりする


これだけの部分が消耗や劣化するとなるとまるで機械全体が消耗品のようなもの。道理でパソコンやタブレットが最近では消耗品扱いになるわけですね。



使っていなくても機器に起きる経年劣化

●よく「動かなくなったけど買ってからほとんど使っていないので故障ではないはずだ」という内容の相談が寄せられることがあります。何年も放置して使っていなかった機械が動かないということは、パソコンなどに限らず機械類にはよくあることです。

●心情的には「使っていないからどこも悪くなっていないはずだ」と思いたい気持ちは分かります。しかし、逆に使っていないもののほうが故障やトラブルを招く原因になることもあるのです。

●まず、バッテリーが不活性化していて正常に動作しないとか、スイッチ類なやコネクタ類など各接点が錆びたりして劣化し、接触不良を起こしていて正常動作を妨げることがあります。

●パソコンでよくありがちなのは内部パーツに樹脂やゴムなどを使用している光学ドライブの場合です。材質が変性して劣化で壊れ駆動力を伝えることができずトレイが出てこなくなります。

●それから液晶パネルも経年で劣化していきます。劣化すると画面が色あせたり変色したりします。明るさも落ちて暗くなったり、色ムラが出現したりします。

●また、消耗とは別にプラグやコネクタ類は経年劣化で表面に酸化被膜ができて導通不良を起こすことがあります。工場や作業場など特に空気が悪い場所では顕著に現れます。

●もっと詳しく言えば、基板上の電解コンデンサなども実は放置しているだけで経年劣化で機能を失っていきます。機械を使っていなくても劣化するというのはこのような部分があるからなのです。

●そのほかにも意外なのはCPUやGPU、トランジスタなどの放熱を促すための熱伝導シートやグリスなどの経年劣化です。劣化して硬化すると熱伝導の機能が喪失し、冷却不良が起きます。それが原因でトラブルになっていることもこれまで何度も事例があります。


※熱伝導グリスが劣化して固体粉化している

●以上のような劣化が起きるものはみんなメーカー製PCだったりしますから、サポートの現場ではメーカーへの信頼性にはいつも疑問だらけ。大手メーカー製とは言ってもやっぱりコスト削減が最優先ですからどこかで品質を落とす=劣化が早いということは現実的にあるわけです。

●機械を使用する以上は消耗や劣化は避けられません。だからといって、使わずに後生大事に取っておくというのもよくありません。長年使っていないのに故障は意外だと言われる方がいますが、それは経年劣化を想定していないからなのです。機械は使ってなんぼの存在。大事に適切に使うことで費用対効果は生まれますので、正しく使うということを日頃から心がけてください。

●次回は、パソコン・タブレット、故障の本当の原因とは?その2「自然故障」

九州インターワークス 注目のページ
「パソコンの安定化対策」
http://www.kumin.ne.jp/kiw/antei.htm

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古賀竜一(システムエンジニア)

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ITのユーザーサポートの現場で実際に問題を解決しながら、ITの最新の状況とその問題点を追及している専門家です。多様で複雑になってきたITのことをユーザーにわかりやすく丁寧にお伝えします。

古賀竜一プロは九州朝日放送が厳正なる審査をした登録専門家です

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