パソコンの電源コードは毎回コンセントから抜くべき?挿したままでいい?
原因がはっきりしないはありえない
●ITサポートの現場では、はっきりとしたトラブル原因がすぐに特定できなかったり、通常は故障頻度が低い箇所が原因になっている事例に遭遇することがあります。前回も言いましたが、パソコンやタブレットも機械ですから壊れるのは当然です。しかし、ユーザーからすれば「何もしていないのに壊れた」という状況はなかなか納得しにくいものです。
●実際、そのように見える故障事例は確かに存在します。しかし、私のような技術屋としては、ユーザーへ納得のいく説明ができる仕事を提供するためにも、検証を怠るわけにはいきません。プロとしても原因が「わからない」で済ませるわけにはいかないのです。
●機械の故障には通常、何らかの物理的・電気的な要因があります。しかし、それが特定できない場合や、ユーザーが原因に気づいていない場合もあります。だからといって「原因不明だからオカルトです」という返答をするのはプロとしてあり得ません。今後、同じような事例に遭遇する可能性もある以上、できる限りの検証と追及は必要です。
●今回は、そのような不思議な「自然故障」について解説したいと思います。
自然に壊れるとはどう言うことなのか?

●パソコンやタブレットが自然に壊れるということが果たしてあるのでしょうか?メーカーの保証書などには、「故意や過失などの場合は保証の対象になりません」と明記されています。では、どんな場合なら保証してくれるんだ?と言いたくなりますよね。
●そこで、保証対象内容として取説や保証書に記載されているのが「自然故障」です。
●ここでいう自然故障とは、「通常使用中に発生した故障」という意味になります。落下や水濡れ、改造、過失などによる故障を除いたものです。
●「自然故障って、自然に壊れるようなものを売るなよ!」と言いたくなるかもしれません。しかし、何度も言うように、人間が作った機械ですから完全はありえません。いくら有名メーカー製といっても、パソコンやタブレットの構成部品すべてが100%不良ゼロで生産されることはありません。
●電子機器の部品には、まれに短期間で故障するものが混ざることがあります。半導体やコンデンサ、電源回路などは熱や経年劣化の影響を受けますし、製造工程や部品ロットの個体差などによって、早期故障が発生する可能性は完全には排除できないのです。
●メーカー保証期間は1年~3年程度、長いものでは5年というものもあります。その間に起きる不具合の中には、短命な部品が混ざっていたり、組み立て工程上の不具合が原因となるケースもあります。そのようなものも含めて、広い意味で「自然故障」として扱われています。
●その場合は購入者の故意や過失ではないため、無償でメーカー修理が受けられることがあります。怒りの矛先をメーカーへ向ける前に、まず保証内容を確認し、メーカーサポートへ連絡してください。レシートや保証書は、こういう時のためにも普段から分かりやすい場所に保管しておきましょう。
新品購入直後に起きる故障は「初期不良」
●また、生産過程で動作テストをしていても、出荷から輸送、販売、購入後の開封までの間に何らかの原因で不具合が起きることもあります。たとえば、強い衝撃を受けたり、高温多湿な環境に置かれたりした場合などです。
●そのようなことが原因で、新品購入直後に起きる故障を「初期不良」といいます。
●通販サイトなどのレビューでも見かけますが、特に極端に低価格な製品や品質管理が不十分な製品では、初期不良に遭遇するケースもあります。通販では保証期間内なら交換対応を行うところも多いため、初期不良に当たった場合は、レビューで怒る前にまず保証手続きを進めましょう。怒っていても、交換しなければ損をするだけです。
以下のコラムで商機不良の実例を取り上げています。
買ったばかりのマウスにトラブル発生!誰にでも起きる意外と多い初期不良
https://mbp-japan.com/saga/pc-pro/column/4008165/
保証期間を過ぎて起きた故障はどうなるのか

●ところが、保証期間を過ぎて発生した故障の中にも、実際には自然故障と思われるケースはあります。しかし、メーカーでは保証期間を過ぎたものは基本的に有償修理となります。それはなぜでしょうか?
●例えば、パソコンを2年しか使っていないのにDVDドライブが壊れたとしても、毎日大量のディスク書き込みやコピー作業を繰り返していた場合、それは通常使用を超える高負荷だった可能性があります。
●そのようなケースでは、故障というより消耗に近い面もあります。機械には寿命があり、使えば使うほど摩耗や劣化は進みます。
●また、メーカー側では「どの程度使われていたか」を完全に証明することは困難です。そのため、一定期間を一律の保証期間として設定し、その範囲内で保証対応を行っているわけです。期間を過ぎると、例外を除いて有償対応となることが一般的です。
●そうはいっても、普通に使っていただけなのに2~3年で壊れたら、「そんなに早く壊れるものなの?」という疑問が湧くのも当然です。
●その疑問に答えるには、以下の3つの実態を知っておく必要があります。
自然故障の3つの実態
一つ目は「運」
●数年で故障する個体に当たってしまうことは、実際にあります。これはどのメーカーでも起こり得ます。怒って別メーカーへ乗り換えたとしても、次の製品が絶対に問題ない保証はありません。
●機械とは本来そういうものです。ただし、ネットなどで同型機に同症状が多数発生している情報があれば、販売店やメーカーへ問い合わせてみる価値はあります。件数が多ければ、リコールではなくても修理優遇や無償対応などが行われる場合もあります。
二つ目は、使用中に起きた気づきにくいダメージ
●留守中の雷被害、気づかないうちの衝撃、冬場の静電気、結露などによって故障するケースがあります。保証書には「天災」や、故意でなくても落下・衝撃などの過失は保証対象外と記載されていることが一般的です。
●また、保管環境に問題があるケースもあります。真夏の自動車内のような高温環境や、多湿環境は機械類にとって大敵です。電子部品やバッテリーの劣化を早め、故障原因になります。
●これらは普段意識されにくいため、「何もしていないのに突然壊れた」ように見えるのです。
●実際、サポートで持ち込まれたノートPCを診断すると、HDDやSSDのログ、センサー履歴などに強い衝撃の記録が残っている場合があります。起動中に移動させた、ぶつけた、落としたなどの可能性が考えられます。
●しかし、記録が残っていても、ユーザーへ尋ねると「そんなことはしていない」「覚えがない」という返答が返ってくることは珍しくありません。本人に悪気はなくても、実際には無意識のうちに機械へ負荷を与えていることもあるのです。
3つ目の「機種依存の故障」は厄介な問題
以上、2つの内容はユーザーとしても容認しなければならないケースに相当しますが、3つ目の「機種依存の故障」は微妙です。この問題は、自然故障とは違い、責任の所在がはっきりせず、また保証問題も絡んでくる厄介な問題です。これは、非常に大事な問題ですので次回にじっくり解説したいと思います。
●次回は「機種依存の故障」について解説します。
パソコン・タブレットなどIT機器が故障する本当の原因とは?「機種依存の故障」
https://mbp-japan.com/saga/pc-pro/column/4008428




