南海地震の発生確率が上昇しました。
梁の太さは支える床面積と載せてる柱の数で決まる
柱の上に乗っている横材を「梁」(はり)と云います。建築に携わっていない人には、馴染みの薄い言葉で、柱に比べると認知度は相当低いと思います。
しかし、屋根を支えたり、二階の床を支えているのはこの梁なのです。柱は梁を支えていますが、直接屋根や床を支えているのは梁です。
大工さんは梁背(梁の縦幅)をどの様に決めているのでしょうか。大工さんのあいだには、「一間四寸」のことわざがあります。これは梁背(梁の縦幅)を示す言葉で、柱と柱の間隔(スパンと呼びます)が一間(約1.8m)離れていれば、梁背(梁の縦幅)を四寸(約12cm)にしなさいと言う事です。
では二間(約3.6m)の間隔ならばどうなるのでしょうか。スパンが一間の倍になりますので、梁背も四寸の倍の八寸必要になると云う事です。
あとは、梁の上に乗っている柱の数が多ければ、一寸単位で梁背を大きくしてやります。梁の上に乗る柱は屋根を支えている為です。
ここまで、具体的な荷重(梁に掛る重さ)は一切出て来ません。経験的にこれくらいで持つだろうと云う、ヤマ勘の話しです。
法令遵守が叫ばれている現代にはびこるヤマ勘の世界
吉本興業のタレントさんが、反社会組織から金銭を受け取っていたとして、解雇するしないと世間を騒がせています。お笑いの世界の芸人さんの世界でさえも、反社会的組織と関わったと云うだけで、社会的制裁を受けています。
ところが、梁背をヤマ勘で決める事が建築業界では、当たり前の様に横行しているのです。建築基準法には、木造建物の梁はヤマ勘で決めて良いとは一言も書かれていません。構造計算する事を求めていますし、その為の法整備もなされています。
ただ、建築確認申請に構造計算書の添付義務が無い事を理由に、先に述べた様なヤマ勘の手法で、梁背が決まっているのです。
間違ってはいけないのは、構造計算を省略して良いとは一言も書いていない事です。申請しなくても良いと書かれているだけなのです。大工さんの勘と経験で梁背を決めてはいけないのです。
もしも、耐震強度に不審をお持ちの方がおられれば、構造計算書の提出を求めましょう。申請義務はなくとも、構造検討する義務はあるのです。構造計算の開示を拒めば法律違反の可能性が高いです。