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福味健治

建築主の思いを形にする注文住宅の専門家

福味健治(ふくみけんじ) / 一級建築士

岡田一級建築士事務所

コラム

2019年は木造建築新時代の幕開けの年

2019年1月2日

テーマ:【カフェテラス】

コラムカテゴリ:住宅・建物

今年の展望

新年明けましておめでとう御座います。本年も耳より情報を発信して参ります。どうぞ宜しくお願い申し上げます。
昨年来、鉄骨造・鉄筋コンクリート造の工事費が急騰しています。大手に限らず、中小の工務店に至るまで、受注調整をしている状態です。
工務店は現場監督さんの抱える仕事量が会社の仕事量です。現場監督さんが大勢いればそれだけ多くの仕事を受注出来ますが、監督さんが少ないと、監督さんの手が空くまで工事を待ってもらわないといけません。お客さんを逃がさない為に、契約だけを先に済まし、監督さんの手が空けば工事を始める、と云う手段を、平常時なら取るのですが、今は数か月先の工事単価が読めません。建設費が加速度的に上昇している為です。
今、契約してしまうと、工事を始める時、契約金額では赤字になる恐れがあります。それで、受注調整をしているのです。工務店さんにしても、建設費が上がったからと云って、儲けている訳ではありません。仕入れが高くなっているのです。
鉄骨造や鉄筋コンクリート造の建物は、住まいとして建てられる建物は多くありません。大半が収益を目的とした建物です。建設費が高騰すると云う事は、とりもなおさず、収益性が悪化すると云う事です。採算が合わず多くの計画がとん挫する事でしょう。それでも、事業は続けないと発展していきません。
そう言う背景から、木造建築が見直されてきています。

木造建築は裾野が広いのでまだ供給に余裕がある

資材不足で、木造建築の単価も上昇傾向にありますが、それでも鉄骨造や鉄筋コンクリート造に比べれば、上昇勾配は緩やかです。解体業者とか基礎屋さんとか共通の職種の価格は高騰していますが、木構造そのものはまだ上昇気配を見せていません。

昨年の法改正が木造建築を加速させる

昨年三月に、木造の耐火構造に関する法改正がなされ、4階建てまでであれば、容易に建築出来る様になりました。それまでは、木住協の講習を受講して、一定の技能を身に付ける必要があり、木造耐火建築物を設計できる建築士は限られていましたが、去年の三月からは全ての建築士が設計可能になりました。

出来上がりは鉄骨や鉄筋コンクリートと変わらない

木造耐火建築物は、構造材である木の柱や梁、床・壁と云ったものを、不燃材の石膏ボードで包まないといけません。これを耐火被覆と云います。鉄骨造でも、鉄は燃えませんが溶けますので、耐火被覆を行います。
その為、出来上がってしまえば、木構造が目視出来る部分は全く無く、見た目には他の構造と変わらない仕上がりになります。

他にもメリットが多い木造建築

収益物件としてのメリットは他にもあります。減価償却期間が他の構造の半分程度なので、税引き後の利益を抑える事が出来ます。また利益率が落ちて来て、建て替えを検討する時も、解体費用を抑える事が出来ます。
基礎とか杭工事と云う、目に見えない部分に、大きな費用を使う他の構造と違い、木造は仕上げ材にお金を掛ける事も可能です。

そう言った背景から、今年は新たな木造建築元年になります。

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