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コラム
建築主が招いてしまう手抜き工事
2018年9月26日
設計監理者ってご存知でしょうか
設計監理者の存在をご存じでしょうか。設計監理者とは、建築主になり替わり、設計図書通りに建物が出来上がっているのか、監理する人の事です。一般には設計事務所の建築士がこの役目を負います。
現場監督さんは施工会社を代表して、工事に携わっているのに対し、設計監理者は建築主の立場に立って建物の工事監理します。管理と監理は同じ発音ですが、立場が異なるのです。
建築確認申請書には、必ず設計監理者の名前が記載されています。制度として決められているのですが、一般の方がご存じないのをいいことに、設計監理者が名目だけで実体の存在しない、幽霊監理者の現場が非常に多いのです。
費用が掛かるからと建築主が断ってしまう
設計事務所に設計してもらうと、高くなるから工務店に設計を、お願いしていませんか?
工務店が自社で設計する事もありますし、工務店が設計事務所を雇う事もあります。しかし、それらの設計者は、工事サイドの人間です。工務店から報酬をもらっている人が、建築主の為に工務店を監理出来るでしょうか。
工務店から報酬をもらっていると言う事は、「こうした方が建築主の為には良い」と分かっていても、法律にさえ違反しなければ、工務店の不利になる事は云えなくなってしまう事を意味します。つまり、設計者から見れば、お客さんは建築主ではなく、工務店さんなのです。
これでもまだ、法律に違反するしないで目を光らしていれば良い方で、費用を少しでも安くあげる為に、監理は必要ないと、監理料を払わない工務店さんもいます。そうなると、設計監理者は殆ど現場に顔を出さない、名目上の幽霊設計監理者になってしまうのです。工務店さんに設計・施工でお願いして、設計監理者と現場で打ち合わせした経験のある建築主は、ごく稀だと思います。
幽霊設計監理者の現場は、●工事は職人さん任せ、●現場監督は工事の手配だけしかしない、●手抜きしていても誰も何も言わない。と云った手抜き工事の温床となってしまうのです。
建築主が手抜き工事を招いてはいけない
建築主が手抜き工事を未然に防ぐ手段は、ただ一つです。設計施工で工務店さんに依頼せず、工務店をしっかりと監理出来る設計事務所と、設計契約を結ぶ事です。
工事途上で少しでも疑問に思う事があれば、設計監理者に工事監理報告書を求める事が出来ます。文章にして報告を受けると言う事は、万が一後でトラブルになっても、証拠として扱えますので、未然にトラブルを防ぐ効果もあります。
工事に際し、建築主のサイドに立って、建物を監理してもらう事は、少々の費用が発生しても、必要なのです。
そこは手抜きしては後々の災いとなります。
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