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福味健治

建築主の思いを形にする注文住宅の専門家

福味健治(ふくみけんじ) / 一級建築士

岡田一級建築士事務所

コラム

木造の家は一階が壊れるので二階は補強が不要では?

2018年9月11日

テーマ:【免震住宅・地震対策】

コラムカテゴリ:住宅・建物

コラムキーワード: 耐震補強

二階より一階の方が多く壊れるのなら、一階のみ耐震改修すれば良いではないか

耐震改修を希望されるお客さまより、素朴なご質問を受けました。確かに地震により倒壊した二階建ての木造住宅は、一階が激しく損傷し、二階はあまり大きな損傷を負っている事例はありません。

これは、一階部分は、二階の重量も負担しているから、当然と云えば当然ですが、それ以外にも一階にはリビングや応接間といった大きな空間を取る傾向にあり、地震時に抵抗する上で、必要な耐力壁が思うように配置出来ない事も由来しています。

また、一階が倒壊して二階が倒壊しない理由は、単に一階が二階に比べ、弱いからと云う理由だけでもありません。
地震が発生した場合、その影響はまず一階部分に現れ、一階の柱・壁が大きく変形します。これは、一階の柱・壁が変形する事により、二階に伝わる地震力を一階が吸収している事になるのです。云ってしまえば、一階は二階のクッション材の役目を果たしているのです。
もしも、一階を固い構造物で二階よりもはるかに頑丈に補強すると、地震力は一階を素通りして、二階に到達し、二階部分を破壊します。
極端に言えば、平屋建てが倒壊するのと同じ理屈です。
平屋建ては、地震の力を直接一階の柱・壁が受けますので、二階が無くても倒壊しています。


この事から、一階を耐震補強するのであれば、二階も耐震補強が必要な事が判ります。地震の被害例を確認して、二階部分は強いと勘違いし、一階部分のみ耐震補強すると云うのは間違いです。

費用の都合でどうしても二階まで改修出来ないのであれば。。。

限りある予算の中で、耐震改修を行う訳ですから、どうしても家全体の改修費用にまで、手が回らない事も当然あります。その場合は、一階のみ耐震改修とかするよりも、一部屋だけ耐震改修する耐震シェルターの方がコストパフォーマンスが良いかと思います。建物の健全性は放棄し、とにかく命を守ると云う発想です。地震が発生すれば、素早く耐震シェルターに移動出来る位置を耐震シェルターと定め、そこのみを重点的に補強する発想です。それであれば、費用を抑えて命を守る事が可能です。

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福味健治

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福味健治(岡田一級建築士事務所)

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