Q値の方がUA値よりより体感に近い値を示している。
ZEH申請は本当にゼロエネか
環境省や経産省が推進しているZEH(ゼロエネルギーホーム)事業。建物の断熱化を強化して、ソーラーパネルやエネファームで創エネして、家で使う総エネルギーをプラスマイナスゼロにしようと云うもの。
補助金が出ますので、新築を計画されている方には関心の高い事業です。
目的はエネルギーの供給を受けずとも、自前でエネルギーを創出しますので、今年の様な暑い夏でも電気代を気にせずクーラーを付けられる様にしようと云うものです。
しかし、私は日本のエネルギー政策には懐疑心を持っています。東日本大震災が起こった年の夏は、あれだけ電力危機が叫ばれていたのに、今年は何も云いません。そればかりか、公共国営放送まで無理せずクーラーをかけましょうと放送しています。数年で電力事情が変わったのでしょうか。原発が震災以前の様に再稼働出来たのでしょうか。
何かエネルギーに関する国と企業の事情だけで国民を振り回し、真実を国民に伝えていない気がします。
ZEHの仕組み
ZEH住宅にするには三段階に別れて検討します。一つは建物そのものの断熱化です。具体的に云えばUa値が0.6以下になる事を求めています。これは高価な断熱材を用いずとも、断熱に知識があれば、比較的楽にクリアする事が出来ます。
その次に住宅で消費するエネルギーの総量を出します。冷房・暖房・換気・給湯・照明の総エネルギー量がその建物の大きさなりに設定された基準消費量より下回る事が求められます。基準消費エネルギー量よりも20%以上下回る様にクーラーや換気扇・照明器具を選定すれば良いのです。
ここまでは、簡単にクリアする事が出来ます。この次に創エネの分野に入りますが、太陽光パネルの容量を10KW程度にするか、エネファームと併用するかしなければ、100%削減(ゼロエネ)にはなりません。
5KW程度の発電量でも80%削減程度までは可能なのです。しかしそれ以降は、いくらソーラーパネルを増やしても直線的には削減量が伸びず、売電量が増えて行きます。
ZEHはコスパが良くない
幾ら売電量が増えても、それはZEHとして評価の対象となりません。つまり、実質的にゼロエネに到達していても、補助金の対象とはならないと云う事なのです。
ソーラーパネルの価格は安い物であればKW当たり40万円程度ですが、5KWでも200万円掛かる計算になります。助成金が欲しい為に10KWにして400万円掛ける予算のある人は、売電量も増えますし、それで構わないでしょうが、予算は無いけれど、節電や環境問題に関心があり、エコ住宅にしようと考えている人には手の届かない制度になっています。
政府もその事が判ってきたのか、100%削減にこだわる事無く75%までの削減で可とするNearly ZEH(多雪地域等日射量の少ない地域対象)や、創エネまで考えなくて良いZEH oriented(都市部のビルの谷間で太陽光が望めない場所が対象)とかに助成金を出す制度が始まっています。助成金額が多くありませんが、総建設コストをZEHより低く抑える事が出来ますので、コスパは良くなります。
売電が当初より購入価格が下がっており、電力事情によりいつまでも買い取って貰えるかもわかりません。それを考えるとZEHに拘る必要もないのでしょうか。