簡単に水平を測る方法。簡単に直角を出す方法。
心の豊かさ
年始になると話題になる大河ドラマ。
今年は西郷隆盛を主人公にした「西郷どん」です。民放テレビがどれもイマイチなせいで、大河ドラマは出来の良いのも悪いのも常に見ています。
龍馬伝の時もそうだったのですが、幕末の大河ドラマは戦国時代の大河ドラマに比べ、、資料も生々しく残っていてリアリティーが高く感じます。お爺さんや曽祖父の代には身近にいた人でもあるので、余計に親近感を覚えます。
幕末の薩摩の武士でさえ、野良仕事に励まないと生きる事も出来なかった貧しい時代がリアルに描かれています。
食うものも食えず、贅沢はなにも出来ない人生が描かれているのですが、登場人物の描かれ方が妙に明るく感じるのは私だけでしょうか。貧しさなんて相対的なもので、世間全体が貧しければ、おかれている立場も苦にはならないのかもしれません。
それよりも白米を食っただけで「うまかあ~」と素直に喜べる心の豊かさはどうでしょう。
白米を食べられただけで、家族の会話が弾み、家族同士が感謝しあい、家族の絆がどんどん強まっていく様子が克明に描かれています。この心の豊かさは物質文明に慣らされてしまった現代の私たちが、既に失ってしまった豊かさではないでしょうか。
住宅事情に見る心の貧しさ
建物の設計をしていて、常にお施主様から頂くリクエストの中に、「リビングを広く」と云うものがあります。どなた様に限らず異口同音にリビングは広いほど良いを仰います。
西郷どんの時代には庶民の家に個室は存在せず、囲炉裏端がリビングの中心でそこで生活の一切が行われていました。そんな時代は何もせずとも家族が囲炉裏端に集まり自然と家族の絆が生まれていったのでしょう。家族全員が揃うので当然広い空間は必要になります。
時代は下り、昭和に入っても事情は大きく変わりませんでした。囲炉裏端がテレビの前に変わったくらいです。家族同士で見たいテレビが異なる為、チャンネル権争いが日常茶飯事だったのも懐かしい思い出です。その時もテレビの求心力のおかげで家族の絆が生まれていました。
現代はどうでしょう。リビングを広くと要望されても、リビングに人がいません。奥さんがぽつんと一人でいるのが関の山で、子供たちはスマホ相手に自分の部屋に閉じこもります。旦那が帰宅してテレビはついているのにスマホに目を向けている時代です。いくらリビングを広げても、家族の絆が生まれないのが現代の家なのです。
物質はどんどん豊かになって行くのに、それに反比例するかの様に人の心は貧しくなって行きます。
家族には求心力のあるリビングが必要
新築と云う行為のこれからは、家族の絆を深める事がキーワードになって行きます。家族が一つの場所に集えない家は家庭ではなく、家族でもない心の貧しい人間関係を作り出してしまうただの容器でしかありません。
リビングには家族が集える求心力のあるものを置く工夫が必要なのです。その工夫は家族ごとに異なります。スポーツ好きな家族なら、ジムの様なリビングとなり、運動器具が求心力となるでしょう。音楽好きな家族では防音装置付の部屋がリビングとなり、楽器が求心力となるでしょう。オーディオ好きの家族なら100inchプロジェクターと5.1サラウンドの音響装置が求心力となるでしょう。ただの箱を造らず、自分たちはリビングで何をしたいのかを考える時代に来ています。
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