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福味健治

建築主の思いを形にする注文住宅の専門家

福味健治(ふくみけんじ) / 一級建築士

岡田一級建築士事務所

コラム

怪しいリフォームスペシャリスト

2016年6月30日 公開 / 2016年7月1日更新

テーマ:【メンテナンス】

コラムカテゴリ:住宅・建物

TV番組で見たこと。

TVのバラエティー番組で、悪徳リフォーム業者の見分け方の特集をやっていました。
そこに出演していたリフォームスペシャリスト。これが怪しい。。。

番組を途中からしか見てなかったので、私の誤解もあるかもしれませんがテロップにもどう云う資格の人であるかが表示されていません。単にリフォームスペシャリストと書いてあるだけで正体が不明です。もちろんリフォームスペシャリストと云う国家資格はありません。普通なら建築士とか施工管理士とか国家資格を書くと思うのですが。。。。
弁舌爽やかで言葉に澱みがないので、人前で話しをするのに相当慣れた人である印象は受けたのですが、事例に挙げている内容が本当に専門家なの?と思うもの。

二つほど例を挙げて写真を紹介していましたが、一つ目は床下に炭を撒いた施工写真。
それを見せて「本来ならば紙の袋に入ったまま敷かれるもので、写真は普通の安物の炭をただばら撒いている」と説明していました。工事代金が30万円請求されて法外な値段だと云う話しなのですが、何㎡撒いて30万円だったのかを云いません。施工費込で平米単価5000円の材料なら60㎡撒けは30万円になります。安い炭のイメージと30万円もすると云う印象だけで高いと決めつけているようで、その辺がどうも専門家らしくない。

また、なんで袋詰めの炭がよくて、詰めていない炭が悪いのかの説明もありません。木が炭化して炭になると内部の細かな穴(隙間)が沢山出来ます。その隙間に水分を取り込む事ができるので調質効果に富み、乾燥剤や消臭剤に炭は有効とされているのです。特に袋に工夫がある分けではありません。
「炭は袋詰めしないと埃となって、空中に広がり防塵マスクしないと床下の様な狭い空間一面に敷くことは出来ない」みたいな解説があれば、現場を良く知っているプロらしい見解だなと思うのですが、5秒程あれば言える事を何も言わない。云わないんじゃなくて云える能力がないのでは疑ってしまいます。

放送時間の関係で内容を簡略化しないといけないのかも知れませんが、延床と施工単価、袋詰めの理由の二点を押さえないと建築実務に長けた専門家が見れば疑問が残ってしまいます。

二つ目の写真が断熱材の写真。天井裏を覗いて断熱材が天井一面に敷き詰められていないのでダメだと云ってました。
写真を見る限り二階が乗っている一階の天井裏の写真の様に見受けました。通常二階が乗っていれば一階部分の天井裏の断熱材は入れません。外気に接する部分のみを断熱すれば事が足ります。(北海道の様な壁面内結露の恐れのある地域でない限り)
あの写真を見ただけで手抜き工事かそうでないかの判断はできません。二階がオーバーハングしていて、断熱材があった部分の天井がガレージ部分の天井であったりしたら、至極当たりまえの施工です。
どの様なケースでも、天井裏の断熱材は必須であると視聴者に誤解を与える解説は、専門家であればあるほど謹んでもらいたいものです。(視聴率的にはその方が良いのでしょうが。。。)

もしも同じ番組をご覧になられて、「もしかして我が家も手抜きでは・・・」と思われる方がいらっしゃればご連絡下さい。
写真等を見せていただければ、施工が良いのか悪いのか凡その判断が可能です。

tel 06-6714-6693 fax06-6714-6641 e-mail oado@kcn.ne.jp 岡田一級建築士事務所 福味(ふくみ)まで

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