リフォームの断熱
前々回、グラスウール10K(GW10K)が最もコストパフォーマンスが高いと書きました。性能が悪いとされるGW10Kでも、平均的なモデルルームを試算した場合、Q値は2.03で、次世代省エネ基準の2.7を下回ることが出来ました。
http://mbp-japan.com/osaka/oado/column/26878/
前回、壁よりも開口部に気遣いが必要と書きました。
多く使われている、アルミペアガラスをアルミ樹脂複合Low-Eペアガラスにすれば、Q値2.03→1.73まで下がる事を示しました。
http://mbp-japan.com/osaka/oado/column/26902/
断熱性能を左右する要因は、ほかにもう一つあります。それは換気です。
通常のQ値計算の場合、第三種換気を想定しています。第三種換気とは換気扇で強制的に排気し、給気は自然換気に任せる換気法です。これには目標値が定められておりまして、一時間当たり0.5回の換気が義務付けされています。
真冬の厳冬期25℃の室内空気を排出して、氷点下0℃付近の空気を取り込む事を意味しています。つまり何もしなければ、どれだけ断熱材の性能を上げても、一時間すれば25℃の室温が12.5℃付近まで下がってしまうのです。
そこで最近住宅にも注目され始めているのが、熱交換型の第一種換気(強制排気/強制給気)です。最近の熱交換型の換気扇は性能が向上していまして、熱交換率90%程度が常識になっています。厳冬時、25℃の空気を排出すれば、入ってくる氷点下付近の空気の温度が22.5℃になって入ってくると云う事です。熱交換型換気扇と通常の第三種換気と同じ換気回数0.5回で換算できませんので、見かけの換気回数を算定する事になります。
見かけの換気回数を用いて計算すると、換気回数は0.21回まで押さえる事が出来ます。
見かけの換気回数に部屋の体積とと比熱を掛け合わせると、熱損失を0.42→0.18まで下げる事が出来ます。全体のQ値は1.49となりました。
北海道や、雪の多い日本海で家を建てるならともかく、温暖な関西エリアで建てるなら充分すぎる値です。
断熱材メーカーのコマーシャル合戦が過熱気味で、ユーザーが客観的な評価をする事が難しくなっています。断熱材で少しの断熱性能を上げるために、数十万円掛けるのであれば、十数万円で熱交換型の換気設備を導入した方が賢明だと云えます。