性能の悪さを逆手に取った免震住宅

福味健治

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テーマ:【免震住宅・地震対策】

地震は活動期に入っています

一昨日発生した地震はマグニチュード8.1と大きな地震でした。発生深度が680kmと深かったため、大きな被害は出ませんでしたが、日本の都道府県全てで震度を観測する大規模なものでした。
東日本大震災以降、日本を取り巻く地殻の移動が活発化しており、相当な歪みが溜まっている様に思われます。
今回の様なプレート境界型の地震もさることながら、断層がずれる阪神大震災の様な直下型地震も警戒しなければなりません。
火山も地殻が歪んだ結果活発化します。普段は地殻そのものの重さで、温度が高くても、圧力も高いので、岩盤は固形の状態でいられますが、温度が高いまま、圧力だけが下がりますと、固形の状態でいられず、液体化しマグマとなります。日本各地で火山が活発化してるのは、地殻が歪んでいる証しとなります。

建築基準法をクリアするだけでは安全とは云えません

重力加速度(gal)を基準に建物の耐震強度を考えますと、関東大震災の時に観測された400galに対して安全かどうかを目安にしています。現在の震度階に当て嵌めますと震度5強と云う事になります。悪条件が重なれば建築基準法を満たしているだけでは、震度6で倒壊の危険性があると云う事です。これは古い建物に限らず新築でも同じです。
阪神大震災で観測された地震波は881galでした。
よくチラシ広告とかで「震度7に耐える家」とかの宣伝文句を目にしますが、科学的な根拠を掲載していなければ誇大広告です。
何故ならば、震度7より上の震度階は無いのです。
重力加速度的にみて、震度8とか震度9とかに相当する地震が発生しても、それは震度7なのです。ですので、震度7に耐えうる家を建設する事は不可能です。

免震の新しい考え方

地震の横揺れを防ぐ手段として、免震がありますが、今までは高価であるため、重要な建物とか高級マンションには使われているものの、個人住宅までは普及しませんでした。
木造の場合は建物が軽い為、ゴム免震ではなく転がり免震を用います。震度4程度から作動し、地震に対しては高性能なのですが、そのままでは風に対しても揺れてしまうと云う欠点があります。そこで風揺れ固定装置や制震ダンパーが必要になり、マンションの様な重い建物に比べると、複雑で高価な装置になってしまうのです。
これが、従来の免震住宅の考え方だったのですが、ゴム免震と同様に、性能が悪いとされていた滑り免震が、注目されています。
滑り免震は転がり免震よりも摩擦係数が大きく、性能が悪いのですが、大きな摩擦抵抗が幸いして風で揺れる事がありません。竜巻とか暴風雨は別ですが、普通の風では揺れる事はありません。
免震性能が悪いと云っても、建物の構造に影響が出始める震度5強では免震しますので、家具の転倒等にさえ気を使っていれば、震度4で免震しなくても大した問題とはなりません。複雑な装置が不要な分安価になります。
http://www7b.biglobe.ne.jp/~menshin-house/?gclid=CMjw4eXUk6oCFYw3pAodPjIbwg
先日上記URLの滑り免震住宅の見学に行きました。
 

この免震装置のユニークな点は、滑り免震の特徴を生かすと同時に、告示免震に必要とされる免震架台を木製架台で済ませるところにあります。
一般の免震住宅は鋼製又はコンクリート製であったため、これも高価になる一因でした。外見は少々不細工にはなりますが、コストパフォーマンスは非常に高い免震装置です。

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福味健治
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福味健治(一級建築士)

岡田一級建築士事務所

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