食博の歩き方
これは、京都市内にある建物です。鉄筋コンクリートの建物なのに、一階と二階に瓦屋根が乗せられています。
意匠的にどことなく、未消化な印象がなくもないのですが、これはデザイナーが悪いのではありません。京都市の景観条例で、1階と2階に屋根をつけるよう、指導を受けてしまうのです。
新しい建物は全て同じ様な指導をうけます。
京都市の目的は街並み保全です。1000年も前から都として存在する、由緒ある街並みを無秩序な開発から守ろうとしているのです。建物の高さは変わっても、木造の建物を基準として一階・二階の屋根のラインを街並みとして残したいのでしょう。京都には市街地でも多くの木造家屋がのこっています。
このような、趣きのある佇まいを街並みとして保全することにより、国の内外を問わず多くの観光客が訪れる京都の景観を維持してこうと考えているのでしょう。
しかし、今京都では多くの木造家屋が老朽化のため、危険な状態にさらされています。
新築を規制するのも然る事ながら、古い木造住宅の再生も同時に行わないと、京都の文化的な資源である街並みを維持していくことは難しいかと考えます。
古いと云う理由だけで、木造家屋がどんどん取り壊されて、鉄筋コンクリートに瓦屋根と云う未消化なデザインが街に氾濫することになってよいのでしょうか。
別な角度から京都の街をみていますと、古いですがおしゃれなビルを多く見る事が出来ます。
ヨーロッパの街角にあっても可笑しくない建物ですが、不思議と京都の街にも合います。それは何故でしょうか。。。。
実は京都は最先端を取り入れるのがとても上手な風土が昔からあったのです。日本で初めて市電を走らせたのは京都市です。伝統ばかりを重んじる風土ではないのです。観光資源として社寺仏閣が大事にされ始めてから、やたら古いものしか京都には似合わない様な印象を与えてしまったのです。
鉄筋コンクリートの建物に瓦屋根を載せるよりも、おしゃれなヨーロッパ風の建物のデザインを現代風にアレンジする方が意匠的に納得いくものになるでしょう。
しかし、景観条例がある限りもうこの様な建物を建てる事は出来ません。
瓦屋根が悪いと云う気は毛頭ありませんが、景観配慮と云うならもう少し柔軟な考えがあっても良いのではないでしょうか。