プロに任せておけば良いの嘘
昨晩NHKBSでクイーンの特集をしてました。フレディー・マーキュリーは日本でも人気のある歌手で、1991年に死去しますが、その後も人気は衰える事を知りません。ロックに興味のない私も「ウィウィルロックユー」や「ボヘミアンラプソディー」は知っています。有名なクラシック指揮者がロックとクラシックはよく似ていると評しています。リズム構成や旋律の重ね方に通じるものがあるのでしょうか。
音楽はジャンル関係なしに何でも聞きますが、じっくりとフレディー・マーキュリーの声を聞いていると、なんとなくですが、通じるものがある様に思います。
通じるものがあると云えば、ジャズと演歌。
メロディーラインもテンポも全く異なる二つのジャンルですが、心の響く位置が同じと云うか、大人になってから、特にこの二つのジャンルは聞くようになりました。似ている証拠に演歌歌手にジャズを歌わせれば絶品の曲になります。八代亜紀にジュリーロンドンの曲を歌わせれば右に出るものはいません。美空ひばりが歌う魅惑のワルツはホンダフィットのCMにも使われています。
全く違う二つのものがある点で交差する事をクロスオーバーと云います。
日本は明治期にクロスオーバーを数多く経験しています。ルネサンス様式のクラシックな門灯が京都の町家の軒先に飾られていても、全く違和感が無いのはクロスオーバーの典型です。奈良の大和棟の旧家にヴィクトリアン様式の応接間が造られている光景もよく目にします。
外観や表現方法の違いだけで、心の響く位置が共通するものを、人は合っているとか合っていないとか表現するのでしょう。こうして日本人は海外から、見た目は違っても合うものを取捨選択しながら日本独自の文化に融合させて来ました。
今の建築は様式美が無いと、その筋の大先生からお叱りの言葉を受けます。私は、今は新しい様式美を造る過渡期であると考えています。今の時代に即応した新しい家の造り方。それに対応する様式美。そういったものを模索する日々が続いています。